「百貨店ならではのデジタル化の道筋がある」 エイチ・ツー・オー リテイリング 荒木直也社長

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荒木社長は「業界に今、再編や統合に時間を費やしている余裕はない」と話した。写真は2018年(撮影:今井康一)

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新型コロナウイルスの影響で、4月から5月にかけて一部店舗の休業を余儀なくされた百貨店業界は、営業面で大打撃を受けた。外出自粛要請が緩和された6月以降は、各社ともに売上高が底打ちを見せたものの、本格的な回復には程遠い状況だ。
国内富裕層やインバウンドの需要はいつ復活するのか。そして、アフターコロナの百貨店ビジネスはどう変容するのか。
百貨店業界で全国2位の売上高を誇る阪急うめだ本店(大阪市)を擁するエイチ・ツー・オー リテイリング。阪急阪神百貨店社長を経て、今年4月に就任した荒木直也社長に、百貨店の現状と今後の行方を聞いた(インタビューは6月29日実施)。

定着するとみている3つの動き

──顧客の購買行動は、コロナ後に変化はあったでしょうか。

6月の売上高を細かく見ると、都心部に構える阪急うめだ本店が前年同月比8割未満、阪神梅田本店(大阪市)が同7割未満だったの対し、郊外店は同9割を超えた。お客さんは自分の家に近い身近な店舗で買い物をしているようだ。

年配のお客さんは、まだまだ都心に出ることに慎重なのだろう。通常は30代ぐらいの娘さんと、50~60代のお母さんが一緒に来店されて財布を開いてくれることが多いのだが、そういうお客さんが少ない。

今は外に出る時間を極力絞って、買い物も目的を絞って、「元の暮らしを取り戻す」という消費行動になっている。いろんなものを試したり、新しいものを発見したり、ちょっと冒険したりというよりは、必要最小限のものだけを買うという形ではないですかね。

そうした中、子ども服が一番売れている。これはある意味、必需品の最たるもので、2カ月も経てば子どもさんも成長して、大きいサイズの服がどうしても必要になる。

一方で、化粧品は決まった品番の買い替え需要だけに絞って、郊外の店舗で買われる傾向がある。都心の化粧品売り場については、インバウンド需要がほとんどないこともあるが、売り上げが非常に悪い。

──顧客マインドが元に戻るのは、当面先になりそうですか。

インバウンドが元の水準に戻るのは、最終的に2年ぐらいかかるだろう。

2021年に底を打ち、そこから徐々に需要は戻ってくるのでないだろうか。少なくとも今回のコロナに対するワクチンができて、治療薬ができて、それが普及し、日本側が入国規制を緩和する状況になれば、回復してくると思う。

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