考えるだけでモノを動かせる時代へ! ミチオ・カク氏が語る未来世界(後編)

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相手が何を考えているか、読み取ることも簡単になるかもしれない(写真:NHK)

たとえば、全身マヒの人にとって、これはどういう意味を持つでしょうか。手や足が動かなくても、考えるだけで部屋にあるものをなんでも動かせるのです。つまり、これは新しい革命です。能力をさらにパワーアップさせ、超人に近い能力を与えてくれる革命です。

普通の人の中には、超人的な能力を欲しがる人も、欲しがらない人もいると思いますが、それは選択の問題になると思います。建設現場で働いている人だったらスーパーマンのように巨大な石を持ち上げたり、重機を動かしたりしたいと思うかもしれません。宇宙飛行士も超人的な能力を欲しがるかもしれないし、空軍のパイロットだったら飛行機に乗って鳥のように飛び回りたいと思うかもしれません。どのような仕事であれ、働く人間としての能力を高めるという選択肢ができるのです。選ぶのはあなたの自由です。

サイバー時代にはロボットが危険な作業を行う

2015年は、「サイバー時代の娯楽の黎明期」という意味で重要です。今は、それほど先端技術でもないビデオゲームをやっていますが、2015年以降はそれが飛躍的に変わります。完全なバーチャルリアリティを使ってサイバースペースで新しい寿命を手に入れ、新しい経験を身につけ、新しい仕事に就き、新しい人間関係を築くようになるのです。

脳波を拾うヘルメットをかぶって、その脳波がアシモのようなロボットに送信され、ロボットが簡単な機能を実行する。そんなことが、今、技術的に可能になっています。私たちはすでに「アバター」を持っているとも言えるわけです。

30年後の将来は、ロボット作業員が緊急事態の対処で現場に入っていくかもしれません。たとえば今は、福島第一原発では、ロボットが入っていってネジを回したり、バルブをひねったり、床を掃除したりはできません。できることと言えば、映像を撮るくらいです。ですが、人間とつなぐことで、ロボットが貢献できることはたくさんあるはずです。

人の意識や性格を再現した未来型の「アバター」ができれば、宇宙計画だって完全に変わってしまう可能性もあります。宇宙は危険な場所です。ブースターロケットが爆発する確率が1%もある。でも、ロボットなら帰ってこなくていい。ロボットに宇宙に行かせればいいのです。そうすれば、宇宙飛行士は自宅の風呂やサウナにゆったりと浸かりながら頭の中で宇宙を探検することができるのです。

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