「明るい廃墟」、ピエリ守山は再生できるか リニューアルした地方SCを待ち受ける荒波

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イオンモールのライバルである三井不動産系のららぽーとも、出店攻勢に打って出る構えだ。昨年が出店ゼロ、今年も1施設しかなかった開業を、来年は3施設に拡大させる。「SCは成長産業」(三井不動産)と位置づけ、アクセルを踏み直す。

既存店は消耗戦の様相

だが、1つ1つのモールを見直すと、楽観視できる状況でもない。日本ショッピングセンター協会によると、既存店全体の売上高は、消費増税前の駆け込み需要があった今年3月を除けば、プラスとマイナスを往ったり来たり。

「既存店が軟調なのは増税後の消費環境もあるが、競争激化の影響も大きい」。こう語るのは日本SC協会の篠原一博・専務理事だ。そのうえで「優秀なテナントの争奪戦が激しくなっている。地方を中心にテナントが埋まらないSCも出ている」と指摘する。

東京・渋谷で若い女性に人気のあるファッションビル「109」に入るアパレルショップの幹部は、時代の変化を感じている。「かつて自分たちがイオンモール内に入ることは考えもしなかったが、今は若い女性がイオンに行っている。うちもイオンに入らないと生き残れない」と打ち明ける。

今年11月にオープンしたイトーヨーカ堂が運営するグランツリー武蔵小杉(川崎市)。1階の正面入り口の両端には、食品スーパーとセレクトショップが並び合う。これまでイオンやヨーカ堂と一定の距離を置いていたTOMORROWLANDやBEAMSがこぞって出店し、業界関係者を驚かせた。

それだけSCの力が強くなっていることの裏返しだが、その一方で、「ますます、どこのSCに行っても似たような業態が増えている」との消費者の反発の声も増している。

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