ジュートから多角化、ビルラ一族300年の栄華 アディティア・ビルラを知っていますか?

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異なる場所でプロジェクトを実行し、事業を多角化するにはまず、政府、現地人、およびビジネスコミュニティの営業権が必要となる。第2に、資本を生み出し、プロジェクトに向けて材料を組織化することが重要だ。さらに、プロジェクトを効果的に実施し、それに続く事業を運営するためには才能ある管理者の人員が必要になる。

1870年から現在に至るまで、これらのことをしっかりと行ってきたことが、継続的な成長を続けた理由だろう。

同社の才能を発見して育成するノウハウは、インドを代表するケーススタディのひとつとされている。同社の新入社員は、グループが準備した集中的なトレーニングを経験する。仕事に就いてからも仕事の内容に対するフィードバックを定期的に行う。社員の評価軸は独特のもので、「仕事中の幸福度」とよばれる指標を1990年代後半に導入。これは、仕事中の従業員の満足度を追跡するための調査だ。

携帯電話が事業の柱に

インドでは、どのテレビチャンネルでも頻繁にビルラ・グループのCMが流されている。特に多いのが、携帯電話のアイデアセルラーのCMだ。アイデアセルラーは1995年、AT&T、タタ・グループの出資を得て設立された通信会社で、インド第3位の顧客数を持つ。インド証券取引所の人気株で、ビルラ・グループの株式時価総額の3分の1をアイデアセルラーが占めている。

ビルラ・グループの現在の会長クマール・マンガラム・ビルラ(K.M.ビルラ)氏は、ビルラ一族の第4世代にあたる。彼は、父親の急逝により、1995年に28歳という若さでアディティア・ビルラ・グループを引き継いだ。

K.M.ビルラ氏は多くの役職に就いている。一族が設立し、インドでも有名大学のひとつであるビルラ工科大学(BITS)の総長も務めているほか、さまざまな規制委員会や専門家委員会の主要職を務めている。特に1999年にインド証券取引委員会(SEBI)、コーポレート・ガバナンス委員会の委員長として、コーポレート・ガバナンスに関する報告書を作成した点は特筆に値する。レポートのタイトルは、「コーポレート・ガバナンスに関するクマール・マンガラム・ビルラ委員会の報告書」。その提言は先駆的で、今でもインドのコーポレート・ガバナンスの基盤となっている。

帝羽 ニルマラ 純子 インドビジネスアドバイザー

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ていわ にるまら じゅんこ

インド共和国・バンガロール生まれ。法政大学大学院修了。来日以来14年間で、日印コンサルタント会社起業を経て、現在インドビジネスアドバイザーとグローバル人材トレーナーとして活躍。著書には、2013年にインドの諺について日本語で解説した『勇気をくれる、インドのことわざ』がある。インドの諺を日本語で紹介する本の発行は、長い日印の歴史でもこれが初。2014年には『日本人が理解できない混沌(カオス)の国 インド1―玉ねぎの価格で政権安定度がわかる!』 『日本人が理解できない混沌の国インド2―政権交代で9億人の巨大中間層が生まれる』発行。

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