ハムもハンバーグも「卵白」で増量
N君:今回の話は、本当に目からウロコでした。マヨネーズを作るときに「余った白身」が、"ゴミ"として捨てられずにほかの食品メーカーに売られて、カサ増しの材料に使われているなんて、考えもしませんでした。
河岸:ただ、誤解のないように断っておくと、別に「余った白身」がすべて卵焼きに変わるわけじゃない。だって、マヨネーズの余った白身がすべて卵焼きに回るほど、卵焼きの需要も多くないでしょ。
N君:確かにそうですね……。
河岸:ほかの加工品メーカーにも、「余った白身」を格安で引き受けているメーカーはある。たとえば、ハムメーカーも「余った白身」を仕入れてロースハムを作っているし、惣菜メーカーも「余った白身」を混ぜてハンバーグを作ったりしている。
N君:ハムやハンバーグもですか? 確かに、ロースハムやハンバーグの「裏ラベル」をあらためて見てみると、「卵白」って書いてあるのも多いですね。
河岸:これもメーカーが「増量」のために「白身(卵白)」を仕入れて足しているわけ。ほかに「植物性タンパク」も足しているけど、「植物性タンパク」による増量のカラクリは新刊で解説したとおり。
N君:「植物性タンパク」は増量のスター選手として外食で大活躍、肉をまったく使っていない「植タン餃子」とか「水ぶくれ唐揚げ」とか、すごい裏側を解説しましたよね。
河岸:外食は表示がいらない分、スーパーで売られているもの以上に、「卵白」や「植物性タンパク」で増量した「カサ増し食品」が多く使われる傾向にあるの。
N君:表示免除をいいことに、「外食の裏側」はすごいことになっていますね……。
河岸:今回解説したのは「増量」だけど、もっと驚くべきことに、「ある食品」なんかは、完全に「白身を添加物で着色して黄身だと思わせて」売っているものもある。
N君:えっ? 黄身と思って食べているけど、それは「着色されたニセモノ白身」ってことですか? そんな「すごいニセモノ食品」があるんですか。
河岸:そのとおり。しかも、それはコンビニで売られているし、みんながよく食べているものでもある。次回は、その話をしよう。
というわけで、ヤバすぎる外食「卵」の裏側は以上です。
次回、「あの人気商品は『ニセモノ卵食品』だった!」を解説する前に、来週は年末年始の季節ネタとして、「クリスマスケーキの裏側」と「正月料理の裏側」を特別編で取り上げたいと思います。
「クリスマスケーキの裏側」は、来週月曜の12月22日の早朝にアップします。ぜひその記事を読んでから、ケーキを買うようにしてください。なぜなら、みなさんが買うクリスマスケーキには、思いもよらない「裏側」が潜んでいるからです。
せっかくのクリスマスは、おいしいケーキを食べたいもの。楽しみにお待ちください。
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かわぎし ひろかず / Hirokazu Kawagishi
食のプロや業界関係者のあいだで「食品業界を知り尽くした」と言われる男。大手ハムメーカー、大手卵メーカー、大手スーパー&コンビニ、数々の食品工場での勤務経験から「肉のプロ」「卵のプロ」「スーパー・コンビニのプロ」とも呼ばれる。
1958年、北海道生まれ。帯広畜産大学を卒業後、「農場から食卓まで」の品質管理を実践中。「食品安全教育研究所」代表。
これまでに経験した品質管理業務は、養鶏場、食肉処理場、ハム・ソーセージ工場、餃子・シュウマイ工場、コンビニエンスストア向け惣菜工場、卵加工品工場、配送流通センター、スーパーマーケット厨房衛生管理など多数。
著書に『スーパーの裏側』(東洋経済新報社)、『ビジュアル図解 食品工場のしくみ』(同文舘出版)などがある。
ホームページ「食品工場の工場長の仕事とは」を主宰。
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