黒衣に茶色のけさを身に着けた若者ら約30人が正座して並んでいた。寺院のお堂のように見えるが、ここは大正大学の浄土宗法儀実習室という教室だ。
「はい合掌。元気出していこう」。その声を合図に、学生らが「ナームアーミダーブ(南無阿弥陀仏)」と唱え始めると、すかさず指導教員から「もっと高く!」と声がかかった。
大正大は、天台宗、真言宗豊山派と智山派、浄土宗の4宗派による大学。僧侶を目指す学生が集まる仏教学部仏教学科の宗学コースでは、インドで生まれ、中国を経て日本に伝わった仏教の歴史的な流れや思想、漢文やサンスクリット語など仏教の基礎を習得する。
宗派に分かれ、お経の読み方など僧侶に必要な技術も学ぶが、それらはあくまで本山の道場での修行が中心になる。勝野隆広・准教授は「大正大には宗派の垣根を越えた仏教学研究の伝統がある。各宗派に共通する基礎を押さえることで、仏教のより深い理解につながる」と、大学で学問としての仏教に取り組む意義を強調する。
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