日本のお寺が危機に瀕していると聞いたら驚くだろうか。「坊主丸儲け」という言葉があるように、お寺に対しては経済的に安定したイメージがある。大都市で不動産などを所有するお寺のイメージがそれを増幅させた。
ところが実際は、少子高齢化、都市への人口流出に伴う檀家の減少(=お布施の減少)、住職の高齢化と後継者不在によって、地方のお寺は存続の危機に立たされている。特に農漁村にある寺は過疎化の影響が著しい。全国に寺は7万7000あるが、住職がいない無住寺は2万と推計され、年々その数は増えている。その中には、宗教法人上、形式的には存続していても廃寺に近い寺もある。
では都市部の寺が経済的に安定しているかといえば、そうではない。日本は多死社会を迎えているが、宗教行事への人々の参加は減り、葬儀や法要は簡素化が進んでいる。都市部では菩提寺を持たない家が珍しくない。寺を維持するには200~300軒の檀家が必要といわれるが、それを確保できない寺が増えているのだ。
お寺の経済危機は、お葬式が変わってきたことからも理解できる。かつては派手な葬儀がもてはやされたが、意識の変化や長寿命化によって簡素な葬儀に抵抗のない人が増えた。2010年、イオンが葬儀費用の透明化の方策としてお布施の額を明示したことをきっかけに、それまであいまいだったお布施(戒名の授与を含む)の目安が白日の下にさらされた。お布施の宗教的意義を重視しない人にとって、料金は安いほうがいい。お布施の低価格化はお寺の経営を圧迫する。
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