豊かな緑に囲まれた臨済宗妙心寺派の妙法山正眼寺僧堂(岐阜県美濃加茂市)の朝。寺の料理をつかさどる典座(てんぞ)役の修行僧、東出正瑛さんは、昔ながらのかまどの前で、火勢を調節しながら黙々とご飯を炊いていた。
東出さんは67歳。一昨年、長年勤めた物流会社を定年退職後、半年ほど、家でテレビを見たり、散歩したりと、ゆっくりした生活を送っていた。が、そのうちに「せっかく自由に使える時間ができたのだからブラブラせず、やりたいこと、やるべきことをしよう」という思いが強くなってきた。思い出したのは、以前に通勤途中の自動車のラジオで聞いた「定年後に僧侶になりませんか」という話だった。放送局に電話して、出演者が長野県千曲市、開眼寺の柴田文啓住職(80)(「禅の思想は生き方に通じる」にも登場)と聞き、連絡を取った。
横河電機役員を退職後に住職となった柴田さんは、無住寺院対策を進める臨済宗妙心寺派本山宗門活性化推進局で顧問を務め、これまで約40人のシニア僧侶志願者をスカウト。現在、20人が修行に入っている。
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