日本の生活保護は、国際的には公的扶助政策の一つに分類される。「生活保護」というタイプは日本独特のもので、ドイツでは社会扶助、フランスでは活動的連帯所得手当(RSA)という公的扶助制度になる。
呼び名は違えども、目的は変わらない。文化的で尊厳を持てる最低限の生活を保障するために、現金・サービスを自国の貧困者に支給する経済援助は、先進国では当然の責務として行われている。
各国の貧困対策と照らし合わせたとき、日本の生活保護はどのようなものとして映るのか。特徴と課題を国際比較で検証してみよう。
日本の生活保護受給者1人当たりの受給金額は、月平均で14万円。今年に入って政府が生活保護支給水準の一部引き下げを決めたことが話題を呼んだものの、貧困政策に詳しい阿部彩・首都大学東京教授は、「生活保護の基準額自体については諸外国と比べても見劣りするものではない」と話す。
しかし、その制度を利用する人の割合が極端に低い。生活保護受給の対象になる低所得者層のうち、実際にどれだけ生活保護を利用しているかを示す捕捉率は、いろいろな推計があるが日本では20%程度という。他方、欧州諸国での捕捉率は6~9割に上るといわれる。
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