
ある20代男性のケース。愛知県で住み込みの派遣社員として働いている。
家計はカツカツだ。今月働いた分の給料は来月末に入金されるため、今月と来月は無給となる。寮で生活しているから住まいは何とかなるものの、所持金が5円しかない。食べ物や飲み物を買うおカネもない。未払いの携帯電話料金や、銀行から借り入れた総額40万円の返済もメドが立たず頭を抱えている。カードローンも申請したが断られた。このまま携帯電話が止められると、上司との連絡手段もなくなる。精神的にもつらく、いつ倒れるかわからない不安でいっぱいだ。
生活困窮者支援を行うNPO法人「POSSE」には、このような生活相談が日々寄せられる。景気が回復したといわれるが、相談内容の深刻さからは、少なくとも生活困窮者をめぐる窮状はまったく改善されていないように見える。
現在の雇用改善は、そのほとんどが非正規雇用の増加によるものだ。全労働者に占める非正規労働者の割合は2010年からの4年で34%台から37%超まで上昇している(図表1)。
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