安倍首相、7年前の参院選リベンジ達成か 今回の衆院選を日本一早く「総括」する

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解散直後、野党幹部が何よりも優先したのが野党共闘を前提とした候補者調整だ。野党が同一選挙区で票を取り合った結果が自民党を利したという反省のあらわれだ。

だが、候補者調整を優先した結果、その所産が民主・維新両党は立候補者を半減させる結果となり、選挙戦で訴える「口数」が激減したことで、比例票が伸び悩む結果となっている。

「解散の大義」に反応薄の国民、首相の執念が勝るか

野党は選挙戦に入ってそのことに気づくが、時すでに遅し、後の祭りだ。案山子でも立てれば3万票くらいの得票は見込め、選挙区で当選できなくても比例票に加算されるものを、自ら捨てたようなものだ。

結局、「なぜ今解散?」「大義がない」「しかも600億円も使って」と、時期や選挙そのものの意義を問うことで、安倍総理にダメージを与えようとした野党の戦術は、国民の関心を引かず、安倍総理が争点に持ち込みたかったアベノミクスの正否を問う選挙になったことも、安倍総理にとって奏効している。

無風で怖いのは、一発のホームランである。野球で両チームともに点が入らない緊迫した試合を決するのは、大抵の場合、不用意な一球と失投を逃さないホームラン。失投は、気の緩みだが、各紙の世論調査の結果が自民党に良すぎる余り、党幹部は候補者に文書で通達し引き締め、「失投の予防」をはかる。

また、一発の被ホームランを避けるべく、各マスメディアに「報道の中立を求める」文書を送り、一発大逆転に対しても注意を払う。結果、自公与党にとって計算通りの手堅い選挙となり、勝利を確実なものにする選挙戦が展開されている。

7年前の参院選では、「宙に浮いた5000万件の年金」問題で安倍自民党は大敗を期し、総理辞任の引き金になったが、その轍は二度と踏まないという信念が感じられる。再度総理に返り咲いてまで、憲法改正を成し遂げたい、それまでは辞められないという安倍総理の並々ならぬ堅い意志があり、今回の衆院選はその思いが表れた選挙だといえる。
 

有馬 晴海 政治評論家

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ありま はるみ

1958年 長崎県佐世保市生まれ。立教大学経済学部卒業。リクルート社勤務などを経て、国会議員秘書となる。1996年より評論家として独立し、テレビ、新聞、雑誌等での政治評論を中心に講演活動を行う。政界に豊富な人脈を持ち、長年にわたる永田町取材の経験に基づく、優れた分析力と歯切れのよさには定評がある。ポスト小泉レースで用いられた造語「麻垣康三」の発案者。政策立案能力のある国会議員と意見交換しながら政治問題に取り組む一方で、政治の勉強会「隗始(かいし)塾」を主宰し、国民にわかりやすい政治を実践している。主な著書に「有馬理論」(双葉社)、「日本一早い平成史(1989~2009)」(共著・ゴマブックス)「永田町のNewパワーランキング100」(薫風社)、「政治家の禊(みそぎ)」(近代文芸社)など。

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