そういう現場の状況を考えると、今回の首脳会談、仏頂面での握手だったとはいえ、トップが握手をしたこと自体、「雪解け」の第一段階としては上出来だろう。
ホスト国であるから仕方なく握手をしたのだ、という言い訳をする余地を残しつつ、もしかしたら、関係改善に向かうかもしれないという期待も持たせている。どっちにもとれるようにすることで、自然と「空気」が変わろうとしている。逆に、ここで、急に笑顔で握手されたら、多くの中国人が反発してしまうだろう。空気が変わりそうなシグナルを送っただけで十分なのだ。
李克強首相がさらに空気を変えた
まだまだ、本格的に「空気」が変わったか読めない中で、民衆も役人も経営者も、本当に「雪解け」を信じて良いか、下手に信じて自分が損をすることがないか、ということを慎重に見ているのが、今の状況だと思う。
そんな中12月4日、李克強首相が北京を訪れた新日中友好21世紀委員会のメンバーと人民大会堂で会談し、「両国関係は重要である」というメッセージを公式に発信した。これで、雪解けはさらに前に進んだ。
冷静に考えれば、握手はしたし、メッセージも発信したかもしれないが、尖閣の問題も靖国の問題も、全く解決に向かっているわけではない。
しかし、それらの問題は、反日デモ以前から日中間に同じようにあったものだ。そもそもの対立要因についてギチギチやるのではなく、この際、まずは「空気」を変えることが現実的だ。
中国の政府首脳は、慎重にメッセージを発することにより、ゆっくりと「空気」が変わっていくことに期待しているのではないだろうか。まだ不安定な状態だが、明らかにムードは変わり始めている。
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