グリー田中社長、「狙うことで波に乗った」 創業10年、過去・現在・未来を語る(1)

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山田:そもそも会社設立前に個人でSNSサービスを始めたときは、ブログ全盛期ですよね。

田中:ブログ全盛期です。コミュニティとしては、まだ実名的なコミュニティっていう概念があるらしいよ、みたいな程度でした。当時、フェイスブックについても「実名の出会い系サイトがある」って紹介されていましたからね、当時の記事を見ると。「なんだそれ、ホントかよ!」と思いましたけど。

学生をみてリテラシーの変化を感じた

山田:第2章へ向かったのは、何がきっかけですか。モバイルがこれから来るぞと思ったのは、田中さん自身が何かで感じ取ったんですか。

田中:そうです。会社に来ていたインターンの学生が、「もう携帯しか使わなくても全然インターネットができる、パソコンは使わないですよ」みたいな話をしていたんですよ。そのときに一番びっくりしたのが、洋服を、こんなちっちゃい携帯の画面で買うっていう話を聞いたんですよね。それを見たときに、「えっ、そんなのじゃ、洋服がシマシマなのかどうかもわかんないじゃない」「材質もわかんないよね」と思って聞いたら、「問題ないものを選んで買うから構わない」って言うんですよ。確かに、靴下なんかは別に多少、なんでもいいじゃないですか。そういうものを買うんだ、と。

要するに、テクノロジーが追い付いていなくても、使っているユーザーのリテラシーのほうが劇的に変わっているんだ、ということを知ったんです。こういうときにこそ新しい時代が来るのではないか、と思ったんですね。

ほとんどの人は「携帯が来る!」って言っても、いや、まだ重いからとか、電池がもたないからとか、画面がちっちゃいからとか、そういうテクノロジーの話をする。でもユーザー体験っていうのは、もう劇的に変わっている。リテラシーが変わっている。だからこれは、もう大きな変化が始まっているんだなと思ったんです。

もちろん感覚だけではありません。当時の総務省のデータで、モバイルのページビューが伸び続けていて、PCをもうあと2、3年で抜きますという記事が出ていたんです。普通に、それこそネット系メディアの記事にも出ていましたよ。そんなことは全然リアリティが沸かなかったんですが、でも実際に総務省が出しているようなデータでさえも、そう書いていた。ユーザー体験もそうだし、事実もそうだし、ADSLの話もあるし、そっち側に世界が流れているんだなと思った。そして、誰よりも早くそこをやらなきゃと思いました。

山田:2005年に決断をして、2006年にKDDIからファイナンスして、モバイル版GREEを始めるという風に一気に進めていきました。もうこの頃になると当然、規模も大きくなっていて?

田中:その頃、ようやく30人、40人ぐらいですね。

山田:そして、ここから躍進が始まった。

田中:みんなが今知っている、いわゆる今のグリーになったんです。

第2回(12月6日)に続く

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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