伊藤園が大幅減益、「消費増税影響」の深刻度 冬の宣伝を強化し巻き返し目指す

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伊藤園の場合、主力の緑茶を含む日本茶類が飲料の売り上げの過半を占める。お茶や水は買いだめの対象になりやすく、増税後の買い控え影響がほかの飲料以上に出ていたのかもしれない。

「増税のあとに天候不順が来たので、最初は天候による(一時的な落ち込みが大きいのだろう)と思っていたが、秋以降じわじわと(増税による消費冷え込みの)影響が来た」(本庄社長)。こうした傾向は飲料業界全体に通じるもので、伊藤園と同じように減収減益を見込む企業も少なくない。

来期以降へ攻めの姿勢

ただ、明るい話題がないわけではない。「お~いお茶 濃い茶」のリニューアル品や、カフェインレス需要を取り込んだ「健康ミネラルむぎ茶」は順調に伸びている。上半期の売上高が1割伸びた麦茶に関しては、この冬から初めてホット商品も投入する。2006年に子会社化したカフェチェーン「タリーズ」の名前で出している缶コーヒーも好調だ。

さらに、攻めの姿勢も崩さない。需要期の夏を過ぎた下半期(11~4月)は例年、広告宣伝費用を絞ってきた。だが今年は「来年度へ向けての投資として、マーケティングコストを積極的にかけていく」と本庄社長は意気込む。

来年2月1日に緑茶飲料の発売30周年を迎えることから、「お~いお茶」を大々的に打ち出していく計画だ。2015年10月に予定されていた再増税も見送られたこともあり、徐々に回復していくことも期待できるだろう。

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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