シングルマザーが再婚で気を付けるべきこと 子供に胸を張れる理由がありますか?

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旧いことわざですが、「紺屋の白袴」という言葉をお聞きになられたことはありますか? 昔、白い袴を紺色に染める紺屋(こうや)さんの袴は、決まって白い袴だというのです。他人のために働くのが忙しく、自分の袴を染める間がないという意味だそうですが、私はずっと、一日じゅう職業として働いていたことは、プライベートではしたくもない、する気も起らないという意味にも解釈していました。

医者の不養生、大工の掘立小屋など、私の勝手解釈は当たらずとも遠からずだと思うのです。学校の先生が家庭で自分の子供の勉強を、丁寧にみているという話はあまり聞きません。

面倒を見てくれるのは職業柄なのか?

昔、テレビによく出る有名な女医さんが、息子さんの大ケガを数日間知らずに過ごしたことがありました。息子に、どうしてママに黙っていたのかと叱ると、「どうせ、放っておけば治る」というだけだからと息子さんが答えたそうです。たしかに幼い頃から、子供が熱を出しても、「放っておけば治る」といって薬も与えずに自分は出勤していたと述懐しておられました。

交際相手の方が、今田様の子供さんの勉強を丁寧にみてくれているのが、「職業柄もあるのか」とあなたが考えておられるのは、お気楽すぎると思います。職業として教えるのは収入に繋がりますが、それ以外では自分の子供の勉強さえ、家庭でみてあげるのが億劫になるほど、学校の先生の仕事は激務だと聞いています。

彼があなたの子供さんの勉強をみてくれているのは、ひとえにあなたの喜ぶことをしたいというあなたへの好意の表れではないでしょうか。せっかくの土・日曜日に、本来なら身体を休めるかデートを楽しみたい時間に、まだ他人の子供にすぎないあなたのお子さんの勉強を見てあげていて、楽しいはずがありませんから。

「愛、この深き淵より」を著した詩画作家の星野富弘さんの場合は、脊髄損傷で首から下がマヒした彼自身から、健常者の女性にプロポーズしたのでした。

星野さんは大学卒業後体育の教師になり、クラブ活動で模範演技をしていた鉄棒から落下して、脊髄損傷の事故に遭いました。9年間の闘病生活は何もかも、母親の世話にならなければならず、ときには献身的に介護してくれるその母親にも当たり散らすほど生きる意味が見いだせず、自暴自棄になります。

その後彼は口で筆をくわえて絵や詩を描くようになり、キリスト教に出会って立ち直ります。私は読んだ本の多くの部分を忘れてしまいますが、彼が夫人になった人にプロポーズするくだりはよく覚えています。田舎の畦道で、健常者の女性が彼の車いすを押して散歩をしている時でした。

そこで、首から下がマヒした星野さんが、プロポーズするのです。彼女の返事は、「難しいですね、私一人では決められません。家族に相談してから返事をします」というものでした。家族の反対があったかなかったかは知りませんが、二人は結婚しました。プロポーズをしたのが、健常者の方からだったら、こんなに印象深く覚えていることはなかったと思います。

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