崖っぷちOL、MBAに最後の希望を託す

「え、自分の意見を言ってもいいの!?」

自分の意見を言ってもいい!?

非エリートが非エリートたるゆえんだが、そもそも所属している組織からしてイケてないのである。生温いのである。雇ってくれるところに入れりゃいいか……と安易に就職を決めてきた私の過去の職歴も、ひどいものである。

アルバイトも含めて数社経験したが、最低賃金以下の時給を提示して学生アルバイトに逃げられた会社もあったし、輸入代理店なのに誰も英語ができず潰れた会社もあったし、サービス残業が当たり前で、つねに人が辞めていくため、新人が大した知識もないままOJTで現場に放り込まれる会社もあった。

どこでも共通していたのが、下っ端は自分の意見を持ってはならぬ、ということだった。前職で一度、自分の意見を言って退職勧告とも取れる人事異動をされたことがあった。さすがにそれに懲りて、次の就職活動は慎重にし、非常に雰囲気のいいベンチャー企業に転職したが、その後も、とにかく自分を抑えて会社の中で目立たぬよう目立たぬよう……とカメレオンのように生きていた。

ところが、である。

ビジネススクールでは、とにかく初日から、自分の上司ほど年上の人とペアになったり、グループになったりしながら、ガンガン自分の意見を言っていかねばならない。黙っていたら発言点をもらえない。

発言点は質・量で評価される。質で◎をもらえると5点、○だと3点、量で◎をもらえると3点、○だと1点。もちろんしゃべらなければどちらも0点である。発言点が低いと成績が悪くなる。あまりにひどいと単位すらもらえないかもしれない。

単位をもらえないと何が困るって、少ない貯金の中からマックスマーラの足しにもせずに、えいやっと払った授業料が全部パアになるのだ。そんなわけで、「しゃべらなければ刺される……(もうひとりの自分に)」くらいの切羽詰まった状況で授業に挑んだ。

とにかく何でもかんでも、思ったことはしゃべった。思ってないことも、手を挙げて指されてから考えて、何かしら口にした。「何やこいつ、アホちゃうか?」と思われるのではないか……と妄想の中で震え上がったこともあったのだが、皆も同様に必死だったのか、誰がアホなことを言ったとか、そういうことを糾弾する人はいなかった。

それどころか、おじさん受講生もおばさん受講生も若手受講生も、ほかの生徒の意見同様に私の意見を受け止め、次の議論のキャッチボールのひとつにしてくれた。たまにだが、いい意見ですね、と拍手をもらえることもあった。

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