マキタスポーツ「20代の挫折」経て気づいた才能 器用さを褒められても素直に受け止められず
──世間からは、どう見られたいですか?
マキタ:カッコよく見られたい気満々です(笑)。でも、昔に比べたら無理しなくなりました。若い頃は「カッコよく見られたい」っていう欲求が強すぎて無理しまくってたけど、筋力の衰えとともに面倒くさくなってきてて。でも、やっぱりある程度ちゃんと張らないとダメだなとも思いつつ、それって老害の資源にもなったりするから、気をつけないといけないなって思ってます。
──マキタさんが思う「カッコいい」のイメージを教えてください。
マキタ:オヤジになっても、ここぞのときにきちんと謝れたり、訂正できたりする人は素敵だなと思いますね。歳取るとしなやかさが失われてきて、だんだん謝れなくなってくるじゃないですか。立場が素直さを奪うこともあるし。あとは、表情がある人。男性って高齢になると表情がなくなってしまう人が多いなと思います。
感受性を閉じて自分を守っているんですよね。社会とコミットしなくなって、自分の中だけで成立してしまっている。謝れないことも、そういう世の中に対してのスタンスの表れだと思うんです。自分を防御するために、何でもかんでも謝るようなのは、違うと思いますけど。
──オヤジは、しなやかさを持って社会と向き合うことを忘れてはいけないという。
マキタ:そういう意味では、女性のほうが社会と関わることに慣れていますよね。批評されることに対してとても自覚的だし、フィードバックもちゃんとできる。そういう社会との向き合い方は、女性に学ぶべきだなって思いますね。ともすると、僕も完全無血なおじさんですから。
爆笑が起こらなくても「そういう考え方もあるんだ」って思ってもらいたい
──「笑いよりも、価値をひっくり返すことに重きを置いてる」という言葉を別の記事で拝見しました。マキタさんのクリエイティブは、そこが原点になっているんでしょうか。
マキタ:「目からうろこが落ちる」じゃないけれど、今まで固定観念だったことが少しほころんだり、違ったものに見えたり、そういうことは好きです。