定額聴き放題は日本に根付かない!? 無料配信が普及、超高音質もニーズ低い
音楽配信市場でシングルトラック販売単価が低下している。直近の2014年4~6月の平均販売単価は169円だった。前年比で約1割の減少だ。2000年代後半、日本の音楽配信市場を席巻した「着うたフル」では、1曲当たりのダウンロード料金が200~400円台だったことを考えると、隔世の感がある。
従来型携帯電話“ガラケー”からスマートフォンへの移行が進み、ガラケー向けサービスだった着うたフルの売り上げは激減。音楽配信市場の状況は一変した。
無料配信が単価押し下げ
スマホでは、ユーチューブなどの動画共有サービスを利用して音楽を聴くことができる。そのため、「音楽の聴き方が変わり価値が下がってしまった」と、音楽業界関係者は嘆く。
また、レコード会社や音楽配信サービス事業者のマーケティング施策の変化も、単価下落に影響しているようだ。今年9月、アイルランド出身の人気ロックバンド「U2」は、新作のアルバムを全世界のアイチューンズ利用者に無料で配信した。このような無料提供の形で、シングル曲をプロモーション活動の一環として活用する動きもある。
たとえばレコード会社は、新しいアルバムを発売したタイミングで、そのアーティストの旧作を低価格で提供する。音楽配信サイトでは、「期間限定で1曲無料」などといったキャンペーンのほか、旧作や認知度の低いアーティストの曲を無料で提供して集客を図る。これらも単価を押し下げる要因となっている。
CD音質を上回る超高音質のハイレゾ商品を投入し、付加価値による単価アップに取り組む動きもあるが、今のところニーズは限定的だ。
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