川上: ネット上のデジタルコンテンツって何が罪なのかっていうと、複製コストと流通コストの原価がほぼ0(ゼロ)じゃないですか。ネット事業者は原価ゼロなのに、複製コストと流通コストの浮いた分を自分たちの利益にしようとするわけです。でも、原価が下がって生じる利益は、そもそも、すべてコンテンツホルダーのものではないでしょうか。
しかも悪質なことに、ネット事業者はコンテンツホルダーから利益を奪うとき、消費者も共犯者として味方にすべくコンテンツの価格を下げようとするわけです。コンテンツがネットだと安く手に入ることは、結果的には、ネットの普及の原動力になるわけだから、2度、3度おいしいわけです。

これまでネットが求心力を持ってきた大きな理由は、コンテンツのディスカウントですよ。ディスカウントはましなほうで、多くの場合は違法コピーによってディスカウントどころかタダで配られてしまう。「ネットっていいよね、コンテンツがタダで手に入って」っていうふうにみんなが思って、それで大きくなったわけです。
そして今ビジネスになろうとしているんですけども、その時の収益配分をさらにネットによこせと言っているわけです。
原価が下がった中で値段が下がる。そして分け前の一部はネットによこせということでネットに渡す。これが既存のコンテンツ業者にとってプラスかマイナスかっていったら、マイナスでしかない。踏んだり蹴ったりですよ。
山田: 値段は下がるわ、取り分は誰かに渡すわで、踏んだり蹴ったり。
コンテンツの値段とは?
川上: 原価が下がっても、結局コンテンツとしては同じものだから、媒体原価が変わろうがコンテンツの値段って消費者にとって関係ないんですよ。だから値下げをする必要なんかない。原価が安いから、という理由で電子書籍の価格を下げてしまえば、いずれ紙の書籍の値段も下がります。もしくは紙は売れなくなってしまう。ということで結果的に価格の下方圧力が掛かっていく。そのことによるコンテンツ会社のメリットは、まったくありませんよね?
山田: 収益という面では、確かにそうですよね。
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