ドワンゴ川上会長、「炎上は放置、謝らない」 「ネットが生んだ文化」、コピー、炎上、嫌儲

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川上 量生(かわかみ・のぶお)●1968年生まれ。京都大学工学部を卒業後、コンピュータの知識を生かしてソフトウェア専門商社に入社。同社倒産後、1997年、PC通信対戦ゲームのシステム開発会社として株式会社ドワンゴを設立。2000年から代表取締役会長。携帯ゲームや着メロなど人気サービスを次々と手がける。2004年東証一部上場。2006年には子会社ニワンゴにて動画共有サービス「ニコニコ動画」を開始、多くの人気作品がここから生まれた。2014年株式会社KADOKAWA・DWANGO会長に就任。著書に『ルールを変える思考法』(KADOKAWA)ほか。

山田: コピーを許すことが逆にクリエイティビティを高めることになるわけですね。音楽でもそうですけど、アレンジを作ることが認められていい。今までの芸術や技術の歴史って、そうなっていますよね。

川上: そうなんですよ。だから今、心配なのは、感情的な議論になってしまっていることです。作ったものは自分のものだって強く主張をする人たちがいる。もちろん自分が作ったものを大事にしたいということもあるでしょうが、私有財産としてすべての権利を持っているんだ、というような前提になっている。

そこがちょっと違っていると思うんですね。創作物は有限であって著作権も期間を区切っている。ということは、土地とは明らかに違うということです。すべてのコンテンツは人類の共有財産です。それをたまたま最初に発見した人が、一時的に優先的に使用する権利を持っているにすぎません。

なのに、完全な私有物だと主張する人も多い。でも知的所有権は土地とは違っていて、本来はそういうのを認めるべきものじゃない。人類全体の共有物のはずですよ。

私有権の考え方を見直す時がきている

山田: 土地だって本来的には私有権ではなく使用権のはずですよね、有限的な。

川上: 本来、土地もそうでしょうね。

山田: コピーライトに限らず、私有という考え方自体を考え直さなきゃいけない時期にきている感じですね。

川上: そうですね。どこまで私有を認めるか。あくまで一時的に借りているだけかと思います。

山田: 話がずれますが、ネットへの写真掲載禁止ということを貫いている芸能事務所がありますが、今後とも、「ネットには載せない」という選択肢はありでしょうか。

川上: 当然、ありですよ。経済合理性で判断するべきことだと思います。掲載したことで得られる利益と掲載をしないことで得られる利益を考えて判断をすればいいのであって、なにも難しいことではないと思うのです。

山田: 出版社も、もう少しネットとの付き合い方を考えるべきですね。

川上: 経済合理性で判断するべきだと思います。ネットに出したことによって経済合理性があって、結局、儲かるのかどうか、それとも結局、損をするのか、そこで判断をすればいいと思います。

実際、今のところは、ネットに記事を出さないところが、いちばん得をしていますよね。だから出さないほうが正しかったんですよ。

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