ドワンゴ川上会長、「炎上は放置、謝らない」 「ネットが生んだ文化」、コピー、炎上、嫌儲

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『ネットが生んだ文化(カルチャー)』(角川学芸出版)。上の画像をクリックすると特設サイトにジャンプします。

川上: 現実社会では「謝ったほうが得だ」という、一種の暮らしの知恵があるわけですが、ネットにおいてそれは通用しません。

もちろん、ネットのほうも、“謝らない会社”に対する嫌がらせのノウハウが蓄積してきたので、スポンサーや取引先などにみんなが一斉に苦情の電話をかけるといったことをやるわけです。それに対抗できるのか、ということを考えていくと、普通の会社だったら、「面倒だから謝れ」というような意見が出ちゃいますよね。

山田: なるほど。最後のキーワードが「嫌儲(人がもうける行為を嫌うこと)」です。これはどういうことでしょうか。

川上: 要するにネットの人たちは社会的弱者なので、経済的にも弱者であるケースが多いということです。だから、儲かっているような人が許せない。いろんな複雑な感情を持っているのです。

山田: 嫌儲は、増えていくのでしょうか。

川上: 間違いなく増えていきますね。国全体が貧乏になっていきますからね。

豊かさが増しているのに、誤解している人が多い

山田: それによって国が分断されるような危機は起こると思いますか。アメリカでは稼ぐ層と稼がない層が分断されてきており、ひとつの国としての統合にも危機が起きつつあるように見えます。

川上: 4~5年ぐらい前には、その危険が日本のネットでもあったと思います。その頃が一番、危機が大きかった時代じゃないでしょうか。ツイッターのブームによってネット発のムーブメントがちょっと起こりかけましたよね。今は、その危険はだいぶ遠ざかっているように思いますけれども。

山田: 最後に、世界観についての大きな質問なのですが、今の日本には根本的な問題がある、という風に思いますか。

川上: 十分に幸せでいいんじゃないですか。十分に幸せだし、十分に豊かですよね。今の世の中には、バブルの頃が良かったっていう人も多いと思いますけど、バブルの頃と今だったら、今のほうがずっと豊かですよ。

みんなそこを根本的に誤解しているんじゃないかという気はしますけど。技術は発展していますしね。だってバブルの頃、パソコンは貧弱だったしスマホなんかなかった。今のほうが絶対いいじゃないですか。何が不満なんですか、と思います。

(撮影:梅谷秀司)

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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