「資源高でデフレ」になるGDPデフレーターの罠 「デフレの正体はインフレ」という理解が必要だ

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GDPデフレーターは「名目GDP÷実質GDP」で定義される。GDPに関する「三面等価の原則」(生産・分配・支出、いずれの側面から算出したGDPも等しくなる)に基づき「名目GDP=名目国内総所得(GDI)」であることから「名目GDP÷実質GDP」は「名目GDI÷実質GDP」とも表現できる。

ラフに言えば、名目GDPは生産「金額」の概念であるのに対し、物価控除後の実質GDPは生産「量」の概念である。名目GDIは分配「金額」もしくは「所得」金額の概念である。そうだとすれば「名目GDI÷実質GDP」で求められるGDPデフレーターとは「付加価値1単位を生産することにより得られる所得金額」の概念ということになる。直感的に、この上昇なくして、国民が感じる「豊かさ」は改善しないということがわかるだろう。

輸入価格上昇はGDPデフレーターを下落させる

グラフ(2)で、そのGDPデフレーターの推移とその要因を見てみよう。断続的に下落しているが、その背景は主に輸入デフレーターの上昇である。GDPデフレーターは需要(支出)項目ごとの物価を積み上げて算出するが、輸入は控除項目でありマイナスになる。したがって、グラフでは輸入デフレーターはマイナスで表現されている。

輸入デフレーターの上昇は往々にして原油を筆頭とする資源高が注目を集める局面と一致してきた。資源高になる局面とは、日本経済にとって交易条件が悪化する(交易損失が拡大する)局面である。交易条件は、「1つ輸出して何個輸入できるか」という概念だと思えばよい。原油高主導で輸入物価が輸出物価よりも相対的に上昇すれば、資源輸入国である日本の交易条件は悪化する。つまり、GDPデフレーターは現在のように資源を筆頭とする輸入財の価格が急騰する局面では下落しやすい。

一方、GDPデフレーターが上昇しているということは、輸入財ではなくあくまで国内財の価格が上がることで、インフレが起きていることを意味する。ホームメイドインフレなどと呼ばれるが、「良いインフレ」と言われるものは、こちらを指すだろう。だからこそ、内閣府はGDPデフレーターを「デフレ脱却」を判定する基準の1つとして用いてきた。

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