新卒で一生モノの仕事が見つかるのは奇蹟 在籍年数ではなく、「何を成し遂げたか」が重要

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したがって、Sさんが考えなくてはならないのは、教員という将来の仕事を考えた際に、これまでのどんな経験やスキルがご自身にとっての武器になるか、すなわち新卒組と比較した際に差別化できるかです。その点を真摯に考え、それをうまくアピールしていくことが求められるでしょう。

なお、アピールできる経験やスキルがない、ということであれば、正直、今回の挑戦は厳しいと思います。採用する側からすると、ほかにより有利な選択肢(新卒者)がある中で、積極的にSさんを選ぶ理由がないからです。

しかしながら、仮に高校勤務を狙われるのであれば、ご相談の文章を拝見する限りにおいては、たとえば浪人生相手とはいえ、学生さんの進路相談に乗ってきたことや、最新の受験情報に触れてきているということも、差別化要因になりうるのではないかと考えています。

それらの経験も、受け身で漠然とやっていたのでは単なる「体験」レベルですが、問題意識を持ち、それらの経験を通じた学びや成長がSさんの中であれば武器になりえます。

そういった「学びや成長を伴う職務経験」であれば、職務経験がゼロの新卒組や、ひょっとしたら受験対策を含む予備校実務に意外と疎いかもしれない既存の教員の方たちに対する差別化にもなりえます。勤務される高校にとって、貴重な経験として認識される可能性もあるかもしれません。

ご存じかと思いますが、受験対策や進路の面で高校と予備校(学習塾)が密に連携をするケース、つまり学校が予備校のノウハウを吸収するべく学ぶ提携が増えてきておりますので、Sさんが講師ではないとしても、何かしらの予備校スキルに触れてきているのであれば、チャンスと言えます。

どういった面で学校と予備校が協業をしているかも、ご自身で調べてみてください。「ご自身が認識していない強み」が見つかるかもしれませんよ。

社会人は仕事をしながら勉強するのが王道

文中に「キャリアのない25、26歳」とありますが、司法試験などの難関試験の勉強を長い間していたとか、学部卒業後、大学院に進んだなどというケースもたくさんありますので、珍しいわけではありません。ある程度、仕事を選ばなければ仕事はあります。

それなりに仕事を選びたいのであれば、通信教育を受ける期間の身の振り方を含めたプランをご自身で用意しておきましょう。

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