クラシック鑑賞「最前列がいい」と限らない深い訳 2階席や3階席のほうが実はお得なケースも

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クラシック音楽の演奏会はどの席で聞くとよいのでしょうか(写真:AbleStock.com/Getty Images)
クラシック音楽のすばらしさは、レコードやCDなどの音源で聴いても、もちろんいいものです。しかし、コロナ禍の状況で難しい点はあるものの、演奏会を生で聞くと、クラシック音楽の魅力がよりいっそうわかります。高名なバイオリニストで東京藝術大学長である澤 和樹氏がクラシック音楽の演奏会に行くための簡単なガイダンスをいくつか紹介します。
※本稿は澤氏の新著『教養として学んでおきたいクラシック音楽』を一部抜粋・再構成したものです。

中央、後方のほうが音の響きがいいところが多い

一度演奏会を体験し、生の音楽を聴く楽しみを実感すると、「次は何を聴こうかな」と思うことでしょう。その際に、知っておくとさらに楽しめる、ささやかなアイデアを紹介します。

コンサートや舞台を観るとき、皆さんはどんな席を選びますか。最前列でアーティストのオーラを思う存分浴びたい!と思う方、2階席から全体を見渡したい方など、その思いはさまざまだと思います。

では、クラシック音楽の演奏会の場合はどうかというと、最前列が必ずしもいいとは限らないというのが実状です。ホールにもよりますが、中央か、それより後方のほうが音の響きがいいところが多いように思います。

特殊な例では、ピアニストのリサイタルの場合は、ステージに向かって左側、下手(しもて)からチケットが売れていきます。これは、ピアノがステージと平行に置かれ、ピアニストが下手を背にして座るので、ピアニストが演奏するその手元や指の動きが下手側の方が見えやすいということが理由です。

超絶技巧で難曲を弾きこなすピアニストの指の動きを間近で見たいという人にとってはいい席だと思いますが、実は音自体はステージに向かって右側の上手(かみて)側のほうがいいと言われています。これはグランドピアノの「大屋根」と呼ばれる上蓋が右側に向かって開き、音が上手方向に流れていくためです。

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