平等意識の欠けた人が干されるのは仕方がない訳 子どもたちはかつてない平等教育の中を生きている

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企業のガバナンスでは、監査役の役割が大きくなってくる。内部通報の窓口となるからだ。しかし、多くの社員は自社の監査役をそもそも知らないケースが大半ではないだろうか。内部告発すると処遇が悪くなるのではないかと感じる社員たちもまだ多い。すると過剰に録音したり、第三者に通報したりする。

疑心暗鬼、というまでではないが、社内でも「言いすぎ」を過敏に注意するようになり、コンプライアンス研修・講座を開催する企業が儲かる構図が生まれる。上司と部下の関係は、漢字の示す上下の意味はなくなり、単に役割や仕事の違いになっていく。

私たちの行く末

ところで教育の平等、男女の平等、上司部下の平等について、私が否定的に書いていると思った方もいるかもしれない。たしかに、「プラントベース」「キャンセルカルチャー」「全録音主義」といった傾向は明らかにやりすぎの側面があると私は思う。

しかし、私がどう思うかは別として、この潮流に対応すべきだとも考えている。平等意識が浸透した顧客や消費者が志向する商品やサービスを提供したり、打ち出し方を考えたりしたほうがいいだろう。

またジェンダーニュートラルへの対応も必須だ。本来は社員の心を変える必要があるだろうが、すくなくとも表面的であれキャンセルカルチャーにつながらないような表現を意識せねばなるまい。

また私は企業内で上司や部下が、単に役割や仕事の違いになることに反対していない。昭和のおじさんたちからすれば寂しい関係に映るだろうが、ある種の時代の必然というのが自然だろう。

誰かから見るとユートピアで、違う誰かから見たらディストピアかもしれない。しかし事実として平等化された、漂白化された社会が到来するということだけだ。

前回:自虐笑いや土下座すらネタにできない空気の正体(3月10日配信)

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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