平等意識の欠けた人が干されるのは仕方がない訳 子どもたちはかつてない平等教育の中を生きている

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先日、アメリカでフットボールのNFLスーパーボウルが開催された。毎回ハーフタイムで登場するアーティストたちが話題になる。今年はヒップホップ界の大御所たちが登場した。趣旨ではないため固有名詞は省く。ヒップホップの一部のアーティストは時に女性差別を歌った。登場した大御所たちの、かつての歌詞を取り上げ、非難しようという動きがあった。ある意味、ディスりを芸にまで高めていたヒップホップのアーティストであっても、である。

かつてSNS上などにUPした/されてしまった情報は消せないからと「デジタルタトゥー」などといわれる。しかしアーティストたちにとっては全世界で売ったCDが消せない記録として刻まれている。それがキャンセルカルチャーにつながる。

アーティストを企業と考えると、企業はかつての発信内容の管理や、今後の発信内容について積極的な注意が必要だろう。

企業、上司、部下の平等化

この前、某大手広告代理店の執行役員と話していて驚いた。上司は部下と話すときに、録音されている前提で話すことを求められている、と。そして実際に録音している部下もいる。ハラスメントは当然として、乱暴な言葉遣い、そして差別。何が内部告発されるかわからない。

私が驚いたのは、録音うんぬんではなく、その執行役員が淡々としていたことだ。叱っても、捉え方しだいではハラスメントになる。そして淡々と部下からの評価を下げていくだけだ。さらに社会も企業も、内部告発として声を上げる社員をむしろ称賛する文化になってきている。

アメリカではエンロンの経理大不正事件があった。内部告発の制度を充実させ、内部告白を行った社員を罰したり冷遇したりすることのないよう整備が進んだ。さらに現在はコロナ禍にある。取引先とも会う機会は減り、社内でも対面する機会が激減した。企業と社員の関係性の変化も内部告発を後押しするだろう。

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