「シリア兵がロシア軍に参加」の先に考えうる懸念 中国の役割めぐり橋下徹氏と櫻井よしこ氏が激論

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佐藤正久氏(自民党外交部会長):気になっているのは、ロシアが中東、シリアから傭兵を送り込むという話。相当危険な兆候だ。

粗っぽく市街戦に慣れているシリア兵となると、考えたくない状況が起きる可能性がある。元自衛官として考えると、ロシア兵は本心ではシリア兵とは一緒に戦いたくないと思う。誤算、士気の低下、補給の問題などもあり、ある意味、(ロシア軍が)追い込まれている部分もあるのかと思う。普通だったら、ロシア軍がシリア兵に応援を頼むというのは考えにくい。

シリアで使われた化学兵器を使用する懸念

小泉悠氏(東京大学先端科学技術研究センター講師):ロシアがシリアの傭兵を動員しようとしている。ベラルーシ軍も動員しようとしているわけだ。ベラルーシ軍なんて5万人ほどしかいない。そのうち陸軍は1万数千人ほど。その程度の兵力に頼らざるをえないというのは、相当ロシア軍が攻勢の限界に達しつつあるのではないか。

シリア傭兵の話に関しては、市街戦でものすごい損害が出ることはチェチェン戦争などでロシアは承知している。これから本格的に市街戦を始めるにあたり、あまりロシア兵に死者を出してはまずいと思っていると思う。今回の戦争はただでさえロシア国民からは不人気で、あまり戦死者を出すと国民から本格的に反発を食らう。そのため、非常に言い方は悪いが、死なせても惜しくない外国人兵士、しかも、公式に戦死数にカウントされない兵隊を集めようとしているのではないか。

渡辺周氏(元防衛副大臣・立憲民主党衆院議員):懸念するのは、シリアで使われた化学兵器、例えば、サリンのようなものを市街戦で使って大量虐殺をするのではないかということ。さすがにそこまで行ったときには、NATOは人道支援という形で何らか次のステージに進むぞということをアナウンスしなければいけない。

渡辺氏(写真:FNNプライムオンライン)
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