100万台達成、中国で顧客を定着させる時期に来た--東風汽車・中村総裁インタビュー

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マーチ投入、中国ブランドも発表

--新型プラットフォームを搭載した新型マーチを、中国でも投入しました。東風日産では増産計画も相次いでいますね。

8月末に、7万元を切る6.99万元~で発売した。もっとも安い車種だったリヴィナの8.3万元より1万元以上下げた。9月速報で販売台数は5600台。いいスタートを切れたと思う。

将来に向けた生産能力の増強も着実に進めている。5月、花都工場で乗用車第2工場の鍬入れ式を行った。12年に完成する。年間24万台の能力で、第1工場は去年から3直をしており、この夏に増強もして、39万台まで作れるようになっている。もう一つ、十堰(湖北省)でも商用車第2工場建設に着手をした。乗用車に比べるとラインがややシンプルなので完成は11年と早い。8万台の規模になる。

生産関連では、鄭州日産の第2工場竣工式を9月に実施した。第1工場と会わせて20万台の生産能力になるが、これを14年にはさらに24万台にする能力拡大に着手もしている。エクストレイルやキャッシュカイ(日本名デュアリス)をまず立ち上げて、来年は商用バンであるNV200を入れて、最新工場として今後の増産の第2の柱となる拠点に育てていきたいと思っている。

鄭州工場は、内陸にあることから、沿岸地域の花都工場に比べて労務費が4割程度安くできる。また、この地域は、漢民族発祥の地である中原(ちゅうげん)であるので、道路、鉄道、すべてここを通っている。ちょうどこの工場の脇には、日本で言う国道一号線、新幹線が通っている。車を運ぶという意味でも至便であり、1台あたりのデリバリーコストでもメリットがある。

花都工場は第2工場建設で日産の世界最大の工場となるが、災害や停電、洪水、大雪などさまざまなリスクを分散する意味でも、鄭州をちゃんと育てていく必要がある。そういう意味で、気合いが入っており、この竣工式にはカルロス・ゴーン社長もとんぼ返りで参加してくれた。

中国での自主ブランド「VENUCIA(啓辰)」の立ち上げも発表した。明けの明星、ヴィーナスをもじって付けた造語だ。中国では法律でトランクに製造会社を明示しなければならない。啓辰車には「東風日産」と入ることになる。ティーダやティアナなど品質の優れた東風日産がリリースする独自ブランドであるということを訴えていきたい。グローバル品質に支えられた、中国人のためのブランドだということを旗印にしていく。

高橋 由里 東洋経済 記者

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たかはし ゆり / Yuri Takahashi

早稲田大学政治経済学部卒業後、東洋経済新報社に入社。自動車、航空、医薬品業界などを担当しながら、主に『週刊東洋経済』編集部でさまざまなテーマの特集を作ってきた。2014年~2016年まで『週刊東洋経済』編集長。現在は出版局で書籍の編集を行っている。

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