「ダイエット=鶏胸肉」に固執する人が見落とす事 ボディビルダーの叡智を生かした減量法とは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

MCTオイルといえば、ケトジェニックダイエットの代名詞のような存在ですが、除脂肪食を進める過程においても、その恩恵は大きいと言えます。なぜなら、体脂肪になりにくいばかりか全身の脂質の代謝が上がるというデータが出ているからです。簡単に言えば、食べるだけで脂肪が燃えるということ。言葉としては矛盾がありますが、事実、除脂肪に直結したFなのです。

脂質の主要な構成要素は「脂肪酸」です。脂肪酸にはエネルギーとして使われやすい「飽和脂肪酸」と、血中の中性脂肪やコレステロール値を調節する働きがあると言われている「不飽和脂肪酸」があります。これらは、炭素を結ぶ鎖の長さによってさらに「長鎖」「中鎖」「短鎖」の3つに分けることができます。

オメガ3は不飽和脂肪酸であり長鎖脂肪酸、MCTオイルは飽和脂肪酸であり中鎖脂肪酸。そして参考までに、1枚目のカードで摂取量を増やした食物繊維が腸内で発酵して生まれるのが短鎖脂肪酸です。短鎖脂肪酸は水の性質に近いため、調理における油の役割を果たしません。だから、日常的に私たちが摂る油は長鎖か中鎖かのどちらかとなります。

MCTオイルで脂質の代謝が上がる

『最高の除脂肪食 「食べる」を増やして、絞る!』(ポプラ社)書影をクリックするとアマゾンのサイトへジャンプします

2つの違いは代謝経路。通常、口に入った食べものは咀嚼を経て胃に入り、小腸から血管に入って門脈を通り、肝臓で代謝されて全身に送られます。しかし、長鎖脂肪酸はサイズが大きく門脈に入れないため、リンパ管へと送られてそのまま全身の体脂肪に貯蔵されます。

その点、中鎖脂肪酸は門脈に入り肝臓で代謝されます。それが体脂肪になりにくいと言われるゆえんですが、それだけでなく、皮下脂肪も同時に燃えるというデータがあるのです(※)。

※Kasai, et al., 2003)

つまり、MCTオイルを摂ると全身の脂質の代謝が上がるということ。理由は明らかにはなっていませんが、肝臓で代謝されてケトン体が生まれることで脂質代謝が上がるのかもしれません。いずれにせよ、美味しい食感と腹持ちを叶えてギルトフリーに油を楽しむアイテムとして、とてもオススメです。

岡田 隆 日本体育大学教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おかだ たかし / Takashi Okada

都立西高校、日本体育大学卒業、同大学院体育科学研究科修了。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。トレーニング科学、スポーツ医学を専門的に学び、身体作りのスペシャリストとして活動。究極の実践研究としてボディビル競技を続けており、2023年にはWNBF世界選手権プロマスターズ部門で優勝。指導者としては、2012年から日本オリンピック委員会強化スタッフ(柔道)、柔道全日本男子チーム体力強化部門長を務め、2016年リオデジャネイロオリンピックでは、史上初となる柔道男子全7階級メダル制覇、2021年東京オリンピックでは史上最多5個の金メダル獲得などに貢献。これまで、文部科学省スポーツ功労者顕彰、日本オリンピック委員会奨励賞、讀賣新聞社日本スポーツ賞など受賞多数。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事