また、ロシアは平和維持のために軍事作戦を実行したと言っているが、現実は真逆だ。2014年にロシアによって占領された東部2州の一部の地域以外のウクライナは平和だった。人々は平凡な日常を送っていた。ウクライナは、どこかの国に対して攻撃を加えようという考えもまったくなかった。
ロシアに不法占領されているクリミア半島と東部2州の一部についてさえ、ウクライナは軍事作戦でそれを解放しようと考えていなかった。ここは特に強調したいところだ。
本来、ロシアに不法占領されている地域に関しては、国連憲章でも認められている自衛権を行使し、ウクライナは武力奪還する権利があり、それ完全に合法な手段だ。
しかし、ウクライナは平和国家であり、ウクライナ人は平和を望む国民だ。だから、2014年の無法な侵略で奪われた領土に関しても、平和的な解決を望み、何度も侵略国であるロシアと交渉した。
「ウクライナに侵攻しない」と言っていたのに
さらにロシアはこれまで何度も、自ら結んだ条約を破っている。ロシアは、ウクライナに対して領土的主張はない、ウクライナを攻撃しないという内容の文書を何度も署名している。にもかかわらず、ロシアはクリミア占領、東部2州の占領を経て、先月ついにウクライナに全面侵略を開始した。
2014年3月に、プーチンはロシアがクリミア半島を併合しないと発言し、その2週間後、ロシアはクリミアを併合した。また、2021年11月から、2022年2月にかけて、ラブロフ外相をはじめ、ロシア高官は何度も「ロシアはウクライナに侵攻しない」「ロシアは戦争を起こさない」と繰り返していた。しかし、ロシアは最初からウクライナを全面侵略するつもりだった。
ロシア側が侵攻する理由の1つとしてミンスク合意が持ち出されることがある。ミンスク合意とは、2州からロシア軍が撤退し、その地域に選挙が行われ、その後ウクライナはその地域に特別行政の仕組みを導入するという内容だった。ウクライナはそのつもりでいたのだが、ロシアは結局軍を撤退させなかったため、合意は履行されなかった。
今回のロシアによるウクライナ侵略は、前代未聞の暴挙であり、国際秩序を破壊する試みだ。現代の国際秩序では、国家主権が尊重され、各国の国民は自分の意思で自国の方針を決める権利が保障されている。また、国際的に認められた国境を、力によって変えてはいけないという原則もある。そういった秩序を、ロシアは根本的に覆そうとしている。
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