ベートーヴェンの「運命」本人は名付けてない驚愕 高い芸術性!東京藝術大学長のおすすめ4選

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

交響曲に室内楽曲、ピアノ曲とこれまた膨大かつ名曲ぞろいの中から、まずおすすめしたいのは、なんといっても交響曲。生涯で作曲した9つの交響曲はいずれも聴いて損のない傑作です。

ナポレオン・ボナパルトに捧げようとした第3番『英雄』に、クラシック音楽史上もっとも強烈なフレーズが響く第5番『運命』。第6番『田園』は、第5番とは対照的に、明るく穏やかな曲調で自然の風景や人々の営みを描き出しています。

そして合唱『歓喜の歌』で知られる第9番は、日本では「第九」として年末に各地で演奏され、風物詩のひとつとして定着していますが、平和や人類愛を込めた作詞者のシラーとベートーヴェンの哲学性をにじませた壮大な曲です。

ピアノ協奏曲にも、美しい曲がたくさんあります。ピアノとオーケストラが対話するように進む第4番、『皇帝』の通称で呼ばれる第5番は華麗な導入部から終盤の軽やかさまで心を躍らせます。

バイオリン奏者としてのおすすめは弦楽四重奏曲

バイオリン奏者としてとくにおすすめしたいのは、弦楽四重奏曲。とくにロシア人貴族アンドレイ・ラズモフスキーに捧げられた第7番・第8番・第9番(通称ラズモフスキー1番~3番)は、のちのロマン派につながるベートーヴェン独自の弦楽四重奏のスタイルを確立したとされる、いずれもインパクトの強い名曲です。

弦楽四重奏は、第1・第2の2本のバイオリンとヴィオラ、チェロで演奏される室内楽の総称ですが、それまでハイドンやモーツァルトによって書かれた弦楽四重奏は、主旋律を弾く第1バイオリンが主役で、それをほかの楽器が支えるという形式が多く見られました。しかし、ベートーヴェンのこの3曲では、4つの楽器がそれぞれほぼ均等に活躍します。

学生時代に弦楽四重奏の面白さに目覚め、弦楽四重奏を自分のライフワークにしようと思い立った私には、ベートーヴェンの全16曲の弦楽四重奏曲を極めるということが人生の大きな目標になっています。

次ページ一度は自殺を考えるほどの絶望を経験したベートーヴェン
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事