ゾンビゲームなのに「感動で震える」超傑作の魅力 200以上のアワードを獲得「The Last of Us」

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『The Last of Us』で重要なのはラストシーンです。ジョエルとエリーの旅は無事に終わり、2人は近くの集落に身を寄せます。一見するとハッピーエンドかと思える終わり方なのですが、ひとつのすれ違いがあるのです。

物語の最後、ジョエルはとある決断をし、そのことについてエリーに嘘の報告をします。プレイヤーはジョエルの心情が痛いほどわかるので、その行動を間違っているとは言えないでしょう。

しかし、エリーはジョエルの嘘にうすうす感づいているようなフシがあります。そして彼女の視点から見ると、ジョエルがとったであろう行動は本当に正しいのだろうか? と疑問を抱くような作りになっています。

ジョエルとエリー、はたしてどちらが正しいのか。その答えは誰にもわからないでしょう。唯一言えることは、このすれ違いが続編である『The Last of Us 2』で大きな問題を引き起こす原因になるということです。

(画像はPlayStation公式サイトより)

「The Last of Us 2」はさらにパワーアップ

『The Last of Us 2』はよりパワーアップした続編で、ゲーム体験もストーリーもより緊張感あふれるものになっています。しかし、寄生菌によるパンデミックが発生した世界をあまりにもリアルに描いてしまい、話の重さも増しに増した結果、体験したゲーマーが怒りだす事態にまでなりました。

もはや『The Last of Us 2』は傑作を越えて怪作になってしまったといえるほど。というわけで、心が潤う「大人の傑作ゲーム」第4回ではそちらを紹介しましょう。もしあなたが『The Last of Us』の嘘で飾りつけられた結末に満足しているなら、続きは見ないほうがいいかもしれません。

・遊べるゲーム機:PS3、PS4、PS5(PS4以降はリマスター版でプレイ可能)
・公式サイトはこちら


前回記事:「人に騙されてなぜか笑顔出る」凄いゲームの正体
前々回記事:共感しかない「25歳女性の恋」をゲームにした凄み

渡邉 卓也 ゲームライター

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わたなべ たくや / Takuya Watanabe

いわゆるテレビゲームを専門にコラム・評論などの記事を書くライター。大学卒業後はサラリーマンになったが、満足にゲームを遊べない環境にいらだちを覚えて転身。さまざまなメディアにゲーム関連の記事を執筆。駄作に対して厳しく書いてしまうことでも知られる。

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