「ロシア軍事侵攻」過去例から見た株価のその後 過去のパターンから株価の動きを分析

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湾岸戦争のときを振り返ると、中東産油国での戦争であったことから原油価格が高騰しました。この点は今回も同様です。2月24日のニューヨーク原油市場では、ロシアからの供給が滞る懸念から原油の先物価格(WTI)が一時、7年7カ月ぶりに1バレル=100ドルを超えました。

国連貿易開発会議が公表した2020年の統計では、ロシアはサウジアラビアに次いで第2位の石油輸出国です。また、天然ガスの輸出は第1位となります。これらは欧州向けが多いですが(例えば、日本の原油の輸入先は経済産業省によれば2019年度は4.8%)、ロシアからの供給が滞れば、欧州も他国からの調達を求めるため需要が増えてエネルギー価格が上昇します。

また、今回の侵攻は小麦価格にも影響を与えています。穀物価格の国際指標とされるシカゴ商品取引所の先物市場では、侵攻が始まった24日、小麦相場が値幅上限まで急騰しました。時間外の夜間取引では一時、1ブッシェル(約27キロ)当たり960.75セントと約13年8カ月ぶりの高値を付けました。国際連合食糧農業機関によると、ロシアの輸出量は第1位で世界全体の輸出の17.8%を占めており、今後の小麦の安定的な供給が懸念されるからです。

このような状況を考えると、単純に過去の戦争場面の株価を振り返るよりも、今後を予想するには過去にロシアが行った近隣諸国などへの侵攻局面に限って観察したほうがいいでしょう。

過去の侵攻、空爆前後で株価はどう動いたのか

そこで、近年のロシアの周辺国への侵攻、空爆局面として次の表に挙げた3つの侵攻、空爆前後の株価動向を観察しました。

3つの侵攻、空爆とは2008年8月7日に端を発した、南オセチア自治州を巡ってグルジアとロシア間の軍事衝突である「南オセチア紛争」、2014年にウクライナ領クリミア半島に侵攻し、併合した「クリミア侵攻」。そして、2015年に4年間の内戦で弱体化したアサド政権を支援して空爆を行った「シリア空爆」です。

株価の動きを見るため、侵攻、空爆の前日の日経平均株価の終値を100として指数化しました。まず侵攻、空爆前の相場の動きですが、グラフ上の矢印に示されるように、侵攻日、空爆日の前日に向けて株価が下落しています。侵攻前までは今後の不透明感も強まり株安となるようです。

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