円高、不均衡是正に政治は真剣な議論を


 はたして、その中で11月開催のG20首脳会議がいかなる結論を導き出しえるのか。残念ながら楽観できないと言わざるをえない。元切り上げに対する中国政府の姿勢もかたくなだ。一歩も前進を見なければ、ドル安進展の中で、わが国は引き続き反射的な円高に甘んずることになる。

中国が自国通貨防衛的な為替介入を継続すれば、中国への対抗上、アジア諸国も同様の通貨防衛策を続けざるをえまい。

現在、円に対するアジア主要国通貨の価値は、97年のアジア通貨危機当時の安値水準に迫っている。日本企業はかつてない事態を迎えている。日本企業がアジア諸国に本格的に活動拠点を移さざるをえなくなる環境が日々強まってきたと言ってもいい。

かつては調整インフレも

米国が今回提唱した、経常収支とGDPの相関をベースとする不均衡是正策への注意も怠れない。過去、米国は不均衡是正のために経常黒字国に黒字幅圧縮を求める政策を幾度も採っている。ニクソンショック後の米国もそうだった。円の切り上げにもかかわらず、わが国の経常黒字が拡大し続けたからだ。

わが国は再度の円切り上げを回避すべく、経常黒字の縮小のために輸入増強の内需拡大策に向かった。しかし、古今東西、内需拡大は言葉で語るほど容易ではない。結局、わが国がその後突き進んだのは、調整インフレの道だった。

勤労者所得の大幅な伸びや絶対水準としての円安など、当時、インフレを招来しやすい経済要素がそろっていたこともあって、この政策は見事に的中したが、問題はインフレは起こせても、その調整は困難だったことにある。オイルショックが加わってインフレの猛威がわが国を襲った。

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