中韓の「反日」に、どう向き合うか? 第2回 ナショナリズムは「3つのベクトル」で考えよう
民衆が守ってきた下部構造のナショナリズム(第1回参照)に対して、今、中国や韓国との関係の中で緊張感をもって語られているナショナリズムは、より上部のものです。国家と国家の間のナショナリズムなんです。おまえたちの国は、戦前・戦中、どうしたこうしたと言ってくるわけです。
しかし、半藤一利さんと私の対談本『日中韓を振り回すナショナリズムの正体』でも私は言ったんですが、それを聞く・聞かないは別にして、私たちは、中国・韓国との関係を考えるとき、3つのベクトルで考える必要があると思います。この3つのベクトルの中で私たちは、それぞれの国との友好関係、あるいはナショナリズムの妥協点を作らないといけない。
このベクトルのひとつ目は、国家・政府間のもので、私はA層というふうにくくっています。政府間の外交交渉、あるいは政府間の交流ですね。これは国ですから、1国と1国のやり取りになるわけです。で、そのA層のやり取りは、基本的に法的関係。公的に、決着をつけなければいけないことは決着をつける、ということになる。お互いに、かつてのそれぞれの関係というものを、どの時期に、どういう形で清算していくのかという問題です。