中韓の「反日」に、どう向き合うか? 第2回 ナショナリズムは「3つのベクトル」で考えよう

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このA層、B層、C層の3つの層があって、この真ん中のB層がしっかりお互いに理解し合っていれば、そこには友好が生まれるし、お互いのナショナリズムを相互に認め合うということもできる。そして上のA層、下のC層をたしなめることも可能になってくるんです。

この真ん中の層をきちっと固めるというのが、私は大事だと思うんです。

でも今、残念ながら、その真ん中のB層を固めるということに対して、ちょっと全体の空気が冷たくなっています。

子どもは一緒に遊んでいる

私も、年に何回か韓国や北京に行ったりしますし、友人もいます。

4~5年前、北京にいる私の日本人の友人は、子どもを地元の小学校に入れていたんですね。中国人と一緒に学ばせていた。そうしたら、あるとき、その友人に、学校の先生から電話がかかってきたそうです。

「明日は南京虐殺の話をしますから、あなたの子どもは来ないほうがいいと思うよ」と言うわけです。その先生は、日本人だからというので気を使ってくれたわけです。

保阪正康 ノンフィクション作家 昭和14年(1939)、札幌市生まれ。同志社大学文学部卒業後、出版社勤務を経て、ノンフィクション作家。昭和史の実証的研究を志し、のべ4000人もの関係者たちを取材して肉声を記録してきた。個人誌「昭和史講座」を主宰。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞を受賞。『昭和陸軍の研究』『東條英機と天皇の時代』『昭和史 七つの謎』『あの戦争は何だったのか』『風来記』など著書多数。半藤一利との共著(対談)に『そして、メディアは日本を戦争に導いた』などがある。 (撮影:梅谷 秀司)

でも、私の友人は「どうしてですか? 私の子どもは日本人ですけど、歴史を学んじゃいけないんですか」と言ったそうです。

そして、子どもは翌日学校に行きました。その日、彼の子どもは頭に2~3個、こぶをつくって、泣いて帰ってきました。しかし2~3日すると、子どもはまたワァーと中国人の子どもたちとみんなで遊んでいたそうです。

で、彼は、それでいいんだと言うんですね。2~3発、ぶん殴られても……。

教師から、明日「南京虐殺」を教えるから来ないほうがいいよって言われたからといって、行かないほうがむしろ不自然なんだというのです。ほんとうに親しくなるんなら、行かせる。そして、中国人がどんなことを言うのか聞いて、それで案の定、ぶん殴られ、蹴られ、こぶまでつくって、泣いて帰ってくる。でも、それでいいんだと言うんですね。

私はその話をその友人から聞いて、「お前はいいことをした」と言いました。それがやっぱり、付き合いの原点になるんだろうなぁと。教師の言うとおり行かなかったら、行かない次の日に、また袋だたきに遭うだろうし、尾を引くだろう。けれど、行って、殴り合いのけんかをしても、2~3日すると、またこれが直って、またみんなとワァ~イって遊んでいる。

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