中国を悩ます「香港の悪循環」という難題 香港市民が求めていることとは?

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中国政府も、董氏が重荷だと遅ればせながら理解するようになった。2004年に胡錦濤国家主席(当時)がテレビの生放送で董氏をしかりつけ、3カ月後に彼は「健康上の理由」で辞任した。

後継には曽蔭権氏が選任された。彼は上級公務員であり、香港の不満を抱いている行政職員をまとめられると思われた。しかし曽氏は自らの弱点である強欲さを香港政府に持ち込んだ。

ヨットやプライベートなスイートルームで富裕層と過ごすのを楽しみ、土地所有者に有利な政策を追求した。しかし、土地価格が非常に高くなったため、不動産は大陸出身の高官の家族など極端な富裕層にしか手が届かないものになってしまった。腐敗した行為のために、曽氏もまた不名誉な形で政府を後にした。

次に現在の行政長官である梁振英氏が登場した。彼は、汚職の経歴があった人物に、香港の土地供給政策の運営を任せた。また、香港に「愛国教育」を導入する計画を推進し、学生たちに洗脳の恐怖をかき立てた。

中国の選定した3代の指導者による失敗の後、香港市民が中国の香港政府に対する支配の緩和をますます求めるようになったことは不思議でない。しかし中国にとってこの動きは、主権に対する容認しがたい挑戦を意味する。

香港は悪循環に陥っている

香港は悪循環に陥っており、そこから脱するのは中国政府次第である。香港市民は中国が必要であることを理解しており、中央政府の打倒には関心がなく、その力もない。民主主義といっても、よい統治を求めているにすぎない。

憲法違反の反乱をあおったとして「外部の敵対勢力」を非難する一方で、香港市民が統治者の前に頭を下げるよう要求することにより、中国政府は自らの立場を損なっている。自身が選んだ行政長官の問題に焦点を合わせ、デモが示す根本的な統治問題を解決すべきである。

週刊東洋経済2014年11月8日号

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