日中韓の歴史問題、知らないとケガします 不信と憎悪はなぜ続く
中国や韓国に駐在する日本人ビジネスマンが、現地のお客さんと夕食をともにした。アルコールが入って、話が弾んできたところで、「日本が戦争中にしたことについて、どう思っていますか?」という質問が飛んできたら――。さあ、どう答えたらいいだろう?
ビジネスマンにとって、日本と中国、韓国の間にある歴史問題について知っておくことはサバイバルのための必須知識だ。たとえば、次の事例のような「地雷」を避けるために。
アルプス電気の中国工場で大騒ぎ
今年7月1日、中国の広東省東莞市にあるアルプス電気の合弁工場で大騒ぎが起きた。日本から出張していた同社の片岡政隆会長が、日中戦争をめぐり、中国人の感情を逆なでする発言をしたのだ。現地紙などによると、当日朝の会議の席上、「日本は中国を侵略したのではなく、米国などの植民地支配からの脱却を助けようとした」という趣旨の発言をしたという。
出席していた中国人幹部を通じて発言内容を知った現地従業員が次々と職場を放棄して抗議。その数は1000人近くに及んだ。夕方に会長が従業員たちの前で謝罪したことで、ようやく騒ぎは沈静化した。
米国が中国に植民地を持ったことはないから、発言がこの通りだったなら史実自体が間違っている。しかし、会社の会議という公の席で中国人に向かって侵略自体を否定したとすれば、大企業の経営者らしからぬ分別に欠けた行為といってよいだろう。
中国にとって、日本と戦争をして勝ったことは、「日本軍国主義を打倒した偉大なる中華民族の歴史」であり、誇りでもある。そうしたことは、中国人のアイデンティティの一部になるほどに徹底して教育されている。それをいきなり否定しては、相手も怒るというものだ。
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