ネットで大人気!"ムキムキ歯科医"の正体  嶋田泰次郎医師は、私の主治医でした

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いつもタンクトップで診察しているとは限りません

そもそも嶋田家は両親ともに慶應義塾の出身だ。父親は慶應普通部から塾高、日本歯科大学に進んで歯学博士号を取得。母親も幼稚舎から大学まで慶應で学んでいる。双子の息子たちも当然慶應ボーイになるべく幼稚舎を受験したが、2人がともに合格することは叶わなかった。

しかし自由で個性を尊重する家風の下、3人の兄弟はそれぞれ歩む道は違っていても、のびのびと明るく育っていった。

「筋肉を鍛えることの重要さに目覚めたのは、ラグビーをやっていた高校時代です。身体に筋肉がついていればかっこいいし、強いことに憧れもあった。しかも鍛えれば必ず自分の体は応えてくれる。それが面白くて筋トレにはまりました」

留学で実感した日本の保険制度のすばらしさ

こちらは白衣を着た診療シーン

ただしこの頃のトレーニングはまだ本格的なものとはいかず、肉体改造も完成していなかったようだ。歯科医になるために鶴見大学歯学部に進学した泰次郎氏は、卒業後に米国に1年半留学して米国の医療と保険制度について学んでいる。

「米国の医療制度を知れば知るほど、日本の国民皆保険制度のすばらしさをしみじみと感じました。米国では経済的な理由で保険に入れない低所得者向けの歯科医と、十分な保障がついた任意保険に加入できる高所得者向けの歯科医にわかれています。低所得者向けの歯科医療は報酬が少ないために診察が適当で、歯がダメになったと判断するとさっさと抜いてしまう。しかし高所得者向けの歯科医院ではじっくり診察が行われ、最新式の方法で治療されるのです。一方で皆保険制度がある日本では、誰でも最高水準の医療を安く受けることができる仕組みになっています。こんなにすばらしいことはありません」

だが現実は理想とは異なるものだ。帰国後に大手の歯科医院に勤務した泰次郎氏は、日本の歯科医療の「一面」を見てしまう。

「経営の効率を高めるため、1日に30名も患者さんを診察しなくてはいけなかったのです。おおまかに言えば、1人にかける時間は15分程度。我々の間では『まわす』とか『流す』などと言いますが、これでは患者さんからどこが悪いのかをきちんと聞くこともできないし、どういう治療をするのかを十分に説明できません。これは私が望む医療のあり方ではない。そこでその歯科医院を辞め、父の跡を継ぐことにしたのです」

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