賛否両論の「お泊まりデイサービス」 厚労省の狙いは規制強化か

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反対論続出の理由

地域密着型のスタイルで訪問介護と通所介護、宿泊という三つのサービスを提供している「小規模多機能型居宅介護」の事業者からも反対論が続出。「サービス間の整合性が取れなかった場合、(職員配置や設備基準が相対的に厳しい)小規模多機能型の存立は困難になる」(社会福祉法人「泉湧く家」〈東京都豊島区〉の宮長定男理事長)といった指摘が上がっている。

ただ、デイサービスに宿泊機能を持たせるという仕組みが利用者の支持を集めていることも確かだ。

厚労省に先駆けて、東京都は「認知症デイサービスセンター活用事業」と銘打ったモデル事業を09年度から開始。認知症の高齢者に限って、普段通っている認知症対応型の事業所で泊まりや早朝、休日の受け入れを認めた。長妻氏が視察した都内事業所の宿泊付きデイサービスも、都のモデル事業だ。

モデル事業に参加した「年輪デイホーム」(東京都西東京市)。利用する高齢者の家族からは「安心して里帰りすることができた」との声が上がっている。「顔なじみの職員が夜間も一緒にいてくれたことで、認知症の母親は混乱することもなく、宿泊することができた」と、この家族は話している。年輪デイホーム利用者への意向調査では、9割が「利用し続けたい」と答えている。

もっとも、モデル事業で設けられたハードルは低くない。第一に、一般のデイサービスではなく、認知症高齢者に限ったデイサービスであるということ。1回の利用は3連泊までで、通常は二つのベッドに限定。夜勤職員のほかに、宿直職員も配置する手厚い人員体制を敷いた。

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