メイド・イン・ジャパンは終わるのか 「奇跡」と「終焉」の先にあるもの 青島矢一/武石 彰/マイケル・A・クスマノ編著~問題の所在が周到かつ過不足なく明らかに
もちろん半導体材料の化学製品。あるいは自動車、工作機械、半導体製造装置といったエレクトロニクスを徹底して取り込みながら、それぞれが個別の商品として境界を持つ最終製品では、なお日本は相対的な優位を失っていない。
しかし携帯電話を典型とするエレクトロニクス製品群は、機能と境界を状況に応じて再定義しつつ、ローエンドからハイエンドまで品物をそろえて世界で勝負せねばならないので、従来のものづくりの発想を変えねばならないようである。これはグローバル化のもたらした新しい分野。求められているのはマネジメントの転換である。
本書に答えはないが、ボールはすでに個々の産業・企業の側に投げられている。なぜならこの本によって取り組むべき課題は明瞭にされているからだ。
本年を代表する第一級の産業分析の書である。
あおしま・やいち
一橋大学イノベーション研究センター准教授。1965年生まれ。一橋大学大学院修士課程修了。米マサチューセッツ工科大学Ph.D.。
たけいし・あきら
京都大学大学院経済学研究科教授。1958年生まれ。東京大学教養学部教養学科国際関係論卒業。マサチューセッツ工科大学Ph.D.。
Michael A. Cusumano
マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院教授。1954年生まれ。米ハーバード大学Ph.D.。民間会社の取締役なども務める。
東洋経済新報社 3360円 374ページ
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