「尽くし甲斐のない夫」とは離婚すべき 不仲な義母と、「離婚」で脅迫する夫

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私の親戚で似たような結婚がありました。もちろん超・庶民同志の結婚でしたが、そこは明らかに何かにつけて、(いわゆる条件的な基準では)妻の優子さん(仮名)側が優れていました。当人同士の学歴から家庭の経済的水準、親戚の社会的地位等々、優子さんが何かと“優位”にたっていました。

「私たちをバカにしたら承知しない」が、結婚生活が始まってすぐから(つまりそのような事実もないのに)姑と夫の口癖だったそうです。嫁の実家へのコンプレックスの裏返しで、嫁が婚家をバカにしないよう、何かにつけて嫁とその実家のあら探しをし、侮蔑したそうです。優子さんがそうと気づくのは晩年で、当時は相当傷つき、神経が消耗したそうです。

優子さんの夫も姑も、廊下の隅で見つけた埃一つにも、“優子さんが家じゅうをゴミ屋敷にしたような叱り方”をしたそうです。ですが、いわゆる“良妻賢母型”(それを私が無条件に肯定するわけではありませんが)の家庭教育を受けた優子さんは、夫と姑の理不尽な叱り方や我がままにもよく耐え、良く尽くしました。「きっと前世で、親どうしが仇だったから復讐されているに違いない」と独り言を言いながら。

四半世紀を姑と夫に尽くし、最後まで意地が悪かった姑を見送ったあと、優子さんは返すがえすも悔しいことがあると言います。友人たちとの交流も殆ど絶って姑に尽くしたそうです。それは姑の我がままを助長しただけで、優子さんの献身や犠牲は、最後まで何の役にも立たなかったそうです。

よくよく振り返ってみると優子さんの夫の態度も、心底では自分への情を持っていなかったと思えば説明のつくことばかりで、尽くし甲斐のない人たちに尽くして人生を棒に振った後悔でいっぱいだといいます。本当の夫婦とは、次に紹介します佐知代さん(仮名)のような夫婦でないのかというのです。

嫁を育てるのも姑の役目

いわゆる玉の輿に乗った佐知代さんは、「実家ではお肉屋さんのコロッケがご馳走だった」そうです。結婚早々のある日姑から、「料理の一つもまともにできない人なの」と、親戚中の人の前でバカにしたように言われました。それを聞いた佐知代さんの夫は、「料理人の中から妻を選んできたわけではない。いやなら妻に料理をさせるな」と、佐知代さんをその場でかばいました。

そしてその後、二人は意地であちらこちらのおいしい店やレストランを食べ歩いて佐知代さんの舌を磨き、彼女は料理学校にも通いました。佐知代さんが10~20人の突然の来客にも慌てずに料理を振る舞える腕前になるのに、時間はそうかからなかったそうです。こんな夫になら、いくら尽くしても尽くし甲斐がありますね。しかもこういう人は、尽くす前に尽くしてくれるものなのです。

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