医師が徹底解説!ブースター接種「5つの大誤解」 オミクロンは軽症だから追加接種は必要なし?
ワクチン接種の懸念点である副反応。モデルナ製はファイザー製よりも副反応が強く出るという話もあり、敬遠されがち。
「モデルナとファイザーの大きな違いは、タンパク質の設計図であるmRNAの量。1回の投与量がファイザー製は30マイクログラム、モデルナ製は100マイクログラムとなっています。投与量が多いぶん抗体もできやすいので、抗体をつけて発症を予防するということだけを見れば、実はモデルナのほうが優秀です。しかし、そのぶん副反応も出やすく、とくに若年層の心筋炎などの副反応の頻度はモデルナのほうが高いといわれているため、ファイザーを希望する人が多いのだと思います」
実際に3回目の接種をする場合、ファイザーとモデルナのどちらがいい?
「実際のところは一定以上の抗体がつけば、発症予防や重症化予防率にあまり差はありません。ブースター接種ではモデルナ製ワクチンは1、2回目の投与量の半分の50マイクログラムを投与することになっていますが、それでも十分な効果があります。また、3回目の接種では、過去2回のワクチンとは別の種類のワクチンを打つ、いわゆる交差接種をすると中和抗体量が上がるというデータが出ています。過去にモデルナを打った人はファイザーを、ファイザーを打った人はモデルナを打つと、ワクチンの効果を高められますが、同種のワクチンでも効果は期待できます」
ワクチン接種、約6カ月で抗体価は10分の1ほどに
これまで国の方針では、前回の接種から8カ月を目安にブースター接種を受けることを推奨していたが、接種状況の遅れを受け、高齢者や医療従事者の接種間隔が急きょ6カ月に短縮された。
「実は8カ月という日本の目安自体あまり根拠がない数字で、海外では2回目接種から6カ月後としている国が多いです。接種直後から抗体量は徐々に減少し、6カ月ほどで抗体価は10分の1ほどになるため、そこがブースター接種の目安となっています」
8カ月を待たずに接種したいと思っても、実際に打てるかどうかは別問題だ。
「実際のところ、国の方針が急に“6カ月でもいい”という内容に変更になったので、8カ月のつもりで準備をしていた自治体の多くは接種の体制が整っていない場合が多いです。当院もやっと予約を受け付けられるようになったばかりですが、この先、各地の接種体制は急ピッチで整備されていきますので、不安な方はなるべく早く予約をとれるよう、自治体の情報などをしっかりと確認してください」