医師が徹底解説!ブースター接種「5つの大誤解」 オミクロンは軽症だから追加接種は必要なし?
もちろんワクチンは万能ではなく、かつ、オミクロン株に対しての感染予防効果は従来株より低下していますので、接種しても感染するなら意味がないと思う人もいるかもしれませんが、少なくとも重症化リスクは確実に軽減できます。重症者が増えると医療は逼迫し、職場や家庭などの日常生活にも支障が出ます。医療体制や法制度など環境の整備も追いついていない以上、ワクチンに頼らざるをえないのが現状です」
初回接種(1、2回目)と追加接種(3回目)で異なるワクチンを使用すると中和抗体量は大幅にアップ。ただし中和抗体の上昇率=感染予防率というわけではないので、ご注意を。
ファイザー→ファイザー→ファイザー→20.0倍
ファイザー→ファイザー→モデルナ→31.7倍
モデルナ→モデルナ→モデルナ→10.2倍
モデルナ→モデルナ→ファイザー→11.5倍
「治療薬=コロナが治る」ではない
新型コロナの新承認薬も増え、国内での新薬開発も急ピッチで進んでいる。治療薬が増えれば、ブースター接種の必要はなくなるのだろうか。
「新薬については、一般の方の期待と医療現場の現状が大きくかけ離れている部分かもしれません。たしかに昨年12月24日に、モルヌピラビルという飲み薬が認可され、医師としてもやっと武器が手に入ったような気持ちです。ただし、現状では薬局でのストック数は限られています。安定供給がされているわけではないので、処方できる患者さんはどうしても限られてきてしまう」
十分な体制は整えられていないというモルヌピラビル。一体どんな薬なのか。
「ウイルスの増殖を防ぐ薬で、発症後すぐに飲めば重症化を防ぐ効果があります。ただし、デルタ株に対しての臨床データの結果であり、オミクロン株の患者さんにどう使えばよいかというコンセンサスが得られていないということもあり、処方はなかなか難しいところです。また、入院・死亡リスクを3割程度下げるという薬なので、一般の患者さんが期待するような“これでコロナが治る”というものではありません。ワクチンが不要となるくらい治療薬が出回るには、まだ時間はかかりますね」