鉄路の痕跡ない街「住民の足」はどうなっているか バスを主軸に公共交通網を再編・陸前高田編

✎ 1〜 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

広田線はアバッセ―広田泊間、県立高田病院―広田小学校前間の2系統があり、前者が2往復、後者が平日のみ1往復の運転。広田半島循環線はBRT小友駅前を起点に、路線名のとおり広田半島内を循環する2往復が設定されている。やはり平日と休日でダイヤに違いがあり、便によって運行ルートが異なるなど、一見の客にはなかなかハードルが高い。

広田半島への玄関口に当たる小友駅(筆者撮影)
広田半島内を走るコミュニティーバス(筆者撮影)

広田半島の付け根にある小友駅には11時20分着。乗ってきた便はここから東岸の大野などへ向かうので、ここで200円払って降り、順番として西岸の矢の浦などを先に回る。この半島は「8」の字のような形で、海岸に沿って道路がありバスが走っている。

乗り継いだのは12時27分発、県立高田病院からの便。矢の浦から、くびれた部分にある広田診療所、広田小学校前などを通って、さらに8の下半分の部分を一周し、広田小学校前へ戻る。私は運転士に断って、13時07分着の終点まで乗り通した。運賃はやはり200円。

悪天候のせいもあっただろうが、利用客皆無のままマイクロバスは走った。いったん停止しないと離合ができない道路を進む、いわゆる狭隘路線だ。しかし、高台からのぞむリアス式海岸の風景は、やはり目を見張るものがあり、バスを停めてほしいほど。けれども海岸沿いに降りると、見上げるばかりの防潮堤が視界を阻む。

設備面ではまだ改良の余地あり

広田小学校前は8の字の交差点にある。次はここを13時28分に出るアバッセ行きに乗れば、大野などを通って小友駅へ戻れる。そうした交通の要所ではあるのだが、バス停は岩手県交通が路線バスを走らせていた時代のまま。ポールを流用するなどしている。

間に合わせとの感じがする広田小学校バス停(筆者撮影)

そう言えば福伏でも同じだった。小友駅のように新しい、陸前高田市独自のものに交換されているところもあり、整備途上と見ればいいのか。系統ごとの乗り場も判然とせず、下車時に運転士に確認しておかなかったら迷うところだった。

陸前高田市では、バスのダイヤなどにおいては細かい配慮がなされていると感じられたが、施設面ではまだ改良の余地があるように思われる。時刻表は市の公式サイトに掲載されていて助かったが、路線図が見当たらなかったのが不便。南三陸町の完璧なバスマップを思い出してしまう。岩手県が県全体の路線バスマップを製作、ウェブ上で公開しており、これが参照できたおかげで、おおまかながらも陸前高田市内の路線網の概要もわかった次第である。

この記事の画像を見る(8枚)
土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事