改良ロードスターの旋回性能が別物に進化した訳 後輪ブレーキを自動で掛ける「KPC」は何が凄いか

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さらに、この車体の安定と同時に人が不安を感じるヒーブも弱められるため、ドライバーや同乗者が抱く不安が大きく減少し、代わりに気持ちの良い走りが浮き彫りになる。

スリルのないジェットコースターは楽しさ半減だが、不安のない走りが堪能できることはスポーツカーにおいても大切な要素だ。

操る楽しみをそのままに、不安やリスクを減らすKPCだが、走らせてみて機能のアリ/ナシに違いを感じるのか?

2015年式ND型ロードスターとの違いは? 

筆者の愛車でもあるND型ロードスターは2015年式で当然KPCは付かないが、それと比較してみるとKPCの効果は絶大だった。ちなみに試乗会場には愛車で出向き、アリ/ナシを体感するため事前に試乗コースを走り込み特性を再確認している。タイヤは新車装着タイヤを新たに購入し、空気圧も適正値である200kPaに整えた。

街中から山道、高速道路、そしてちょっと大げさにいえば渋滞路まで楽しい我がロードスター(グレードは「Sスペシャルパッケージ」の6速MT)だが、カーブ走行中に路面の大きな凹凸を通過すると、クルマ全体が斜め上方へと浮き気味になり、お腹のあたりがキュッとなる。

とくに高速道路のきついカーブで、そこに大きな凹凸が加わると、ジェットコースターのフワッとした浮き上がり(ヒーブ)を感じ、思わず身体に力が入るのだ。

これはよく動く足の現れだし、それをねじ伏せるような運転操作こそ(実際にはできないが)醍醐味のひとつだと納得させていたが、やはり不安であることに変わりはない。

筆者保有のロードスター(左)と商品改良を行った最新ロードスター(筆者撮影)

KPCは、こうした不安をほぼ解消する。曲率のきついカーブでは、ステアリングを切り込んでいくごとに横Gが増していくが、同時に後輪左右の車輪速差も徐々に大きくなる。それに合わせて、ブレーキ液圧の最大値(0.3MPa)にまで高められ、車体を沈み込ませた安定姿勢のままカーブを走り抜けていく。

車輪速差を検出するのは電子デバイスであるABS用の車速センサーながら、車輪速差は車体が受けた(曲率のきついカーブを走った)結果だ。KPCは車輪速差に応じてブレーキ力を微少な領域でコントロールするため、ロードスターが本来持っている走行特性を損なうこともない。ここも自然な制御であると感じられる利点だ。

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