ロコ・ソラーレ「ナイスー」だけでない圧倒的魅力 日本人が五輪カーリングにこんなにもハマる理由

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藤澤五月選手がチームの要ではあるものの、全員の一体感があってこその強さを発揮しています(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

司令塔のスキップを務める選手が絶対的な存在となっているチームが多い中、ロコ・ソラーレに関しては必ずしもそうとは言えません。「チーム藤澤」という形ではあるものの、実際はチーム全員で戦略を考え、話し合いを重ねるような一体感が見られます。

勝っても負けても言動がシンクロ

その一体感がうかがえる、もう1つのポイントは、ショットだけでなく、スイープやコールなどの役割を重視していること。ロコ・ソラーレはショット以上にスイープやコールに「ナイスー」の声がかかることが多く、特に他国から「クレイジースイーパーズ」と称えられる小刻みで高速なスイープをチームの強みとして前面に押し出しています。

そのためかロコ・ソラーレは、「まるで1つのストーンを4人で投げているみたい」という声が少なくありません。それは彼女たちの言動とメンタルに一体感があるからであり、1試合「4人で各20投」というより「全員で80投」という印象を受けるのです。

「単にスキップが中心のチームではない」ことは、準決勝進出が懸かった最後のアメリカ戦とスイス戦の試合終了直後からも感じられました。

アメリカから勝利を収めたあとのインタビューで藤澤選手は、「途中(4点リードの状態から)追いつかれてしまったんですけど、特に知那(美)が、よく私にポジティブな言葉をかけてくれて。落ち込みそうになったときもチーム全員で乗り越えて、最後まで勝ちを信じてやって勝てたのがよかったと思います」とコメントしました。

一方、スイス戦の敗戦が決まった直後、カメラがとらえていたのは、責任を感じて泣いている藤澤選手を3人が順番に優しく抱きしめていく姿。また、その後のインタビューでは、1次リーグ敗退を覚悟した全員が同じように悔しげな表情で涙を流していました。彼女たちは笑顔だけでなく、「ねぎらう」「励ます」「涙を流す」などのタイミングもシンクロしていて、見る側はそんな一体感に癒やされるのです。

さらにその19分後、韓国がスウェーデンに敗れて準決勝進出が決まったことを知らされると、藤澤選手と吉田知那美選手は腰を抜かすように座り込んでしまうなど4人全員が明らかに戸惑い、まともなコメントができませんでした。ロコ・ソラーレは、どんな試合も全員で一丸となって戦い、同じように喜び、同じように悔しがる。どんな勝ち方をしても、どんな負け方をしても、そのスタンスは変わらないのでしょう。

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