ロコ・ソラーレ「ナイスー」だけでない圧倒的魅力 日本人が五輪カーリングにこんなにもハマる理由

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「ナイスー」と並ぶロコ・ソラーレのポジティブな姿勢を表しているのがハイタッチ。彼女たちは手痛いミスで失点したときもハイタッチを必ずしています。たとえば、イギリス戦の第6エンドで「2点を狙った難易度の低いラストショットが氷上のゴミで失速してしまう」という不運に見舞われたときも、顔を下げずハイタッチを交わしていました。ハイタッチも、「ナイスー」も、ネガティブになりそうな気持ちをリセットしてポジティブに戻すためのスイッチになっているのかもしれません。

極め付きはアメリカ戦の10エンド。吉田夕梨花選手の2投目が狙ったところにいかず、微妙な空気が流れたとき、すかさず吉田知那美選手が「これはこれで新しい技!」と声をかけ、全員が笑顔に包まれました。準決勝進出のためには絶対負けられない試合のクライマックスで飛び出したポジティブな声に、ロコ・ソラーレの魅力が凝縮されていたのです。

「心のアドバンテージ」で4失点もOK

そのアメリカ戦は序盤から得点を重ねて楽勝ムードでしたが、第7エンドでまさかの4失点を喫し、同点になってしまいました。見ている誰もが「このエンドで流れが変わる」「選手たちは動揺するのではないか」と心配しましたが、ここで見せたのが4年間で成長した姿。続く第8エンドで2点を獲り、第9エンドも相手有利の先攻で1点を重ねて勝利をほぼ決定づけたのです。

試合後、吉田知那美選手は、「しっかりスコアボードを見て、別に4点取られても私たちにとっては(まだ有利な後攻の機会が相手より多いなど)いいシチュエーションだったので、そこはしっかりと“心のアドバンテージ”を使って、落ち着いて次のエンドをプレーできたのは、『このチームで8年間くらいしっかりと積み上げてきたものなんじゃないかな』と思っています」と笑顔で語っていました。

さらにその言葉を裏付けていたのは、4―0のリードで迎えた第3エンドのピンチ。けっきょくアメリカが2点を取ったのですが、そこに至る前にロコ・ソラーレは1分半以上にわたる時間をかけた話し合いを「最悪4点取られてもいいよね」という言葉で締めくくっていました。

つまり、「第7エンドに4点取られて同点になる」というシチュエーションを第3エンドの時点で想定できていたのです。「最悪4点取られてもいいよね」はネガティブな言葉ではなく、「もし取られたとしても大丈夫だから落ち着いていこう」というポジティブなものだったのでしょう。ビジネスシーンのピンチでも、彼女たちのような“心のアドバンテージ”を持つことで動揺を抑え、ポジティブに振る舞えるのではないでしょうか。

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