自動車部品のNOK、「上顧客」はiPhone 子会社が貢献し中間期の営業利益が3倍

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

自動車用シール事業は安定しているが、FPCを含む電子機器部品事業は業績変動が激しいのが悩みの種でもある。iPhone 6がロケットスタートを切ったが、アップル向けは数量が出る反面、オーダーの変動も大きく稼働が安定しない。そのため、中国のスマホメーカー向けの取引開拓にも力を入れている。

13年9月中間期、電子機器部品事業のセグメント利益は51億円の赤字(通期は20億円の黒字)だったが、13年後半から事業環境は好転。今期は第1四半期(4~6月)で24億円の黒字を計上している。第2四半期(7~9月)もFPCの拡大によって、この部門の利益がかなり増えるだろう。

業績好調でも、期末配当は「未定」

第1四半期段階でも連結営業利益は110億円と、中間期予想に対する進捗率が6割を超しており、業績の上振れは濃厚だった。しかしNOKでは、あっという間に状況が変わるFPCの推移を見極めるため、業績の上方修正には動かなかった。結局、第2四半期以降もFPCが好調を維持したことから、このタイミングで業績見通しを変更した。

中間期の実績を受けて、通期の営業利益予想も前期比約6増の528億円へと従来予想より108億円引き上げている。ただ、第3四半期まではほぼ見極めがついているものの、第4四半期はまだ不透明感が残る。配当は中間期に15円と従来予想から5円の引き上げを決めたが、期末配当は未定のままとしている(前期の通期配当実績は20円)。

これだけ好調でも、期末の配当を「未定」とするところに、「足元は好調でも手放しでは喜べない」というNOKの思いが見て取れる。iPhone効果がどこまで続くかも見極めが難しいだけに、FPCの販売動向に神経を尖らせながら、慎重な見通しを出し続けることになりそうだ。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事