子の保育園時代こそキャリアアップすべき理由 「小一の壁」を乗り越えるための基盤を作る時
その後、Iさんは次女を出産しますが、キャリアを後退させたくないという思いがあり、あえて時短勤務にしたり、仕事をセーブしたりすることはありませんでした。長女のときに構築した、夫との連携体制やママ友ネットワーク、病児保育などに助けられ、安定したルーティンを確立していたことも大きかったようです。
もう1つ、「長女のとき、会社にはずいぶん無理を聞いてもらった」という気持ちも後押しになりました。決してゆとりのある職場ではないだけに、少しでも戦力になりたいと考えてのことでした。
また、乳幼児2人を育てながらだと、いつ同僚や上司に迷惑をかけるかもしれない、無理をお願いしなくてはならないことがあるかもしれない、できるとき、できることを惜しまずにやっておこうとの深謀遠慮もありました。
職業人生の基盤を作る大事な時期
幸い、長女のときと違って、次女は熱を出すことも少なく、突然の病気など、プライベートのアクシデントは1年にせいぜい数回ですみました。保育園での朝の儀式は「お母さんはこれからお仕事がんばってくるからね」と笑顔でバイバイ、お迎え時は「○○ちゃん、ただいま~」の感動の儀式。
朝と夕方の儀式の間は、Iさんが心おきなく職業人に変身できる時間です。「私が私でいられる時間が持てたからこそ、『ママ』もがんばることができた」と感じています。
振り返ってみれば、子どもが保育園に通う時期は、Iさんの職業人生の基盤を作る大事な時期と重なっていました。Iさんは、長女が病弱だった経験から、将来は何があるかわからないと痛感し、「1つの会社でがんばり続けよう」と気負うのではなく、状況に合わせて転職も視野に入れ、売れるスキルを身につけることを意識しました。
結果的に、新卒で入った会社に20年近く在籍し、その後、業界全体を見渡せるような仕事に魅力を感じ、思い切って転職をして今に至っています。
特別がんばってきたという意識はなく、サポートしてくれる周囲の人たちに「ありがとう」と「ごめんなさい」を繰り返しながら、気づけば子どもたちは高校生になっていたと、Iさんは笑います。
Iさんの事例は、「子どもの保育園時代こそキャリアアップをめざすべき」だということを教えてくれます。理由は2つあります。
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